極妻顔のお嬢様を世話する、チンピラ風の家政夫との刺激的な同居ラブコメ!『お嬢、お目覚めの時間です』/マンガPOP横丁(71)

マンガ

公開日:2021/8/6

お嬢、お目覚めの時間です
『お嬢、お目覚めの時間です』(樫八重子/白泉社)

 例えば、清楚で気品あふれる雰囲気を醸しだす女子を「お嬢」、大人っぽい見た目や頼りがいのある性格から「姐さん」(「姉さん」ではない)と呼ぶことは多いだろう。

 そういった雰囲気や呼び名に翻弄される人物を主人公としたマンガ作品はこれまで数多く発表されてきたが、今回の主人公は、見た目が“姐さん”な15歳のれっきとしたお嬢様。しかしそれだけではない。なんと彼女の家にやってきた人物によりその雰囲気がさらに“加速”しつつ、彼女の青春がステキな方向に一変するという、かなり変わった物語だ。そんな見た目とは真逆の展開と様々なドキドキがカチ込む、青春同居ラブコメ『お嬢、お目覚めの時間です』(樫八重子/白泉社)をご紹介!

 15歳の女子高生・櫻田勇(さくらだいさみ)は、悩みを持っていた。それは、自分が他の子よりも発育がよく、さらに目つきが悪いがために「極妻」というあだ名が付いていたこと。そんな“極妻顔”の勇は和風の豪邸に住むお嬢様で、その家には怖い顔の人が一緒に住んでいることから、周りでは「ヤクザの家の子」という噂が広がり、友だちができないぼっち状態のまま学園生活を送っていた。実際はもちろんそうではない。ただのお金持ちで、怖い顔の人は父親なのだ。そんな疑惑が晴れそうにない状況の中にいる勇に、父親から一本の電話が入る。それは、しばらく出張のために新しい家政婦を雇ったというものだった。

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 勇の家ではこれまで梅さんというお年を召した家政婦さんがいた。しかしギックリ腰で先日引退。そこに入ってきた、新たな家政婦が来るという一報。そして訪れる初対面の時。名前は家守(やもり)ツネ、年齢は62歳……じゃなかった! どう見ても若い男性で、しかもその風貌や喋り方はいかついチンピラ! すかさず勇は父親に事情を聞こうとするも電話が繋がらず……。

 そして翌朝。

「お嬢、お目覚めの時間です」

 結局、依頼された日数の5日間をお試しとして、家政“夫”と一緒に住むことになりました。

 新しい家政“夫”に起こされた初日の朝。いつもは寝覚めが悪いのだが、今日に限ってはすぐに目が覚めた勇。食卓へ向かうと……なんということでしょう、ステキな朝食が並んでいるではありませんか! そして美味しい。さらに散らかっていた部屋もすでに片付いており、その家事スキルは確かなもの。さらに勇の長い黒髪の髪結いまでお手のもの。さすがに髪結いには動揺するも、これが彼女の青春を変えるきっかけになることに……。

 時には学校へカチ込み(=三者面談とか)、時には勇の用心棒(=友だちと遊ぶ様子を心配して見守るとか)と、勇のために尽くす家政夫との期間限定の同居生活の行方はどうなっていくのか。ドンパチ任侠劇ならぬ、家政夫のイケメンフォローに胸をバンバン撃ち抜かれる刺激的な青春の日常を描いた同居ラブコメだ。

 ただでさえ周りから引かれる見た目とお家柄なのに、チンピラっぽい家政夫の参加によってそのキャラの勢いが増す設定が非常におもしろい。特に、父親と揃ってのお花見の話はそれが最高に発揮されて笑いが止まらなかった。さらに三者面談の、まるですれ違いコントのような会話劇も必見。とはいえ、彼らの中身は真逆の超ピュアピュアな男女! この家政夫が本当にステキで、勇へのフォローはもちろん、彼の真っ直ぐな心に誰もが好きになっちゃうことを保証します!

 雇い主の娘と家政夫という関係から始まる“「極」めて不器用な恋の「道」”(かなり強引でゴメンナサイ)に、みなさんも同行してみてはいかがだろうか。POPでも見た目とのギャップを意識して制作。伝わりましたか?(ドキドキ……!)

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう

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