夜の土手で少女が遭遇した、イケメン同級生との奇妙な青春ラブコメ!『夜の下で待ち合わせ』/マンガPOP横丁(73)

マンガ

公開日:2021/8/20

夜の下で待ち合わせ
『夜の下で待ち合わせ』(三次マキ/講談社)

(この記事は、某“奇妙なドラマ”のテーマ曲を脳内再生しながらお読みください)

 こんばんは。ストーリー・テラーの“ハモリ”です。今夜のマンガPOP横丁は、ちょっと不思議な青春ストーリーの世界へ、いつものネタバレしない程度にみなさんをご案内します。

 学園モノの青春恋愛ストーリーでの恋のお相手といえば、幼なじみだったり、同級生だったり、部活の先輩や後輩だったりと数えきれないほどのパターンがあります。そして出会いに関しては「いっけなーい★遅刻遅刻ぅ!」とパンをくわえながら通学路を走った先の曲がり角や、いつも決まった時間に乗るバスや電車といったドラマチックな要素も重要ですよね。(あ、前者の違いますか? 失礼しました)

 今回の物語『夜の下で待ち合わせ』(三次マキ/講談社)では、夜空の下でひとりぼっちを楽しむ女子高生が同級生男子と出会うところから始まります。この同級生、実はとんでもない“秘密”を持っていたのです……。

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 高校に入学して数週間。未だに自分の名前を覚えてもらえず「漢字3文字の立派な苗字」だけひとり歩きする二階堂都(にかいどうみやこ)は、いわゆる“ぼっち”な学園生活を送っていました。そんな彼女にクラスメイトの女子が近づいてくることがありましたが、それは同じ中学に通っていたイケメンの古賀くんに関する情報を求めるためのもので、古賀くんと話したことがほとんどなかった都は当然答えられず。それもそうで、都は中学の時から名前がみんなに認知されない、ぼっち生活を送っていました。とはいえ、もともと人と関わるのが苦手だった都はこれに関して困っていることはなく、むしろ気楽でした。

 さて、そんなひとりでいることが気楽な少女・都には、とても楽しみにしていることがありました。それは、家族が寝静まった深夜に誰もいない静かな川の土手に行き、犬の動画を観ること! そんなある日、いつもと同じ時間の同じ場所で動画を観ていると、奇妙な出来事が起きます。突然後ろから「こんばんは!」と声を掛けられ飛び上がるほど驚く都。そこにいたのは……なんと古賀くんでした。しかし都は彼に違和感を持ちました。それは会話の中に「地球の方」とか「地球の文化」とまるで地球人ではないかのように話すからです。さらに古賀くんの雰囲気にも違和感がありました。学校での古賀くんは、口数が少なくてクールなのに、目の前にいる古賀くんはとても明るく話していたからです。そして彼の次の発言で衝撃の事実を知ります。

「僕は別の星から地球にやってきました」

「平たく言うと宇宙人です!」

 さらに、

「僕と友達になってください!」

 まさかの告白に、都の最初のリアクションは……「怖っ!」。ドン引きでした。そしてなぜか彼の全身が光っているではありませんか! あまりの急展開に混乱した都は、そのまま別れを告げてその日は終わりました。そして次の日。学校での古賀くんを見て「ドッキリだった?」と思ってしまうものの、気になりすぎてこの日の夜もまたあの時間のあの場所へ行くと、すでに発光中の彼の姿が。今回はもっと深掘りしようと話を聞いてみたら、なんと宇宙人は古賀くんに憑依していたことが判明! しかし、当の古賀くんはまだ気づいていないようで……。

 それからというもの、彼と親しくなろうと古賀くんの下の名前・周一郎から“チロ”とあだ名を付けた都。遠い存在だった古賀くんと宇宙人を介して急接近していく、ふたりだけの奇妙な物語が始まります。

 誰もいない深夜の土手でイケメン同級生との未知なる遭遇は、ぼっちだった都の青春を大きく変えていきます。そのキーパーソンとなる宇宙人のチロは、古賀くんとは真逆の愛くるしい子犬系男子で、都の心を翻弄していきます。非常に微笑ましくて優しくなれる“別次元”のワン!NIGHT青春ラブコメ(子犬系だけに)です。ふたりのとても可愛いほのぼのしたやり取りに読者のみなさんの心にたくさんのキュンが生まれることでしょう。

 最後に。チロという名前、親が昔飼っていた犬と同じ名前でした。これは奇跡でしょうか……。(いいえ偶然です)

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう

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