出版志望者必見! 『就職四季報』編集長が語る、2016年の就活戦線

公開日:2015/2/27

編集長直伝『就職四季報』はこう使え!

—せっかくですので、『就職四季報』のうまい活用の仕方、というのを教えてください!

 はい。まず『就職四季報』の場合、各企業から掲載料金をいただいているのではなく、独自調査への回答を元に作成しているので、客観的な情報を出しているというのが最大の特徴なんです。そのため、よく学生が利用する就職サイトなどには掲載されていないこともある平均年収や有休消化日数、3年後離職率などの情報も載っています。ある意味、企業にとってマイナスな情報は就職サイトでは出しにくくても、この本にならあるというのは、大きな強みでもあります。

—特に注目のデータはありますか?

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 やはり「3年後離職率」ですね。「ブラック企業」問題が取りざたされる中、最も注目度も高いデータだと思います。厚生労働省の最新の調査では、新規学卒者の3年後離職率は大卒で32.4%(平成23年3月卒業者の状況)となっていますから、それを基準にどのくらい辞めているのかを見てほしいですね。社員の生の声はまさにここに出ています。「NA(No Answerの略で非公開の意味)」で返してくる企業もありますが、答えていない理由に何かあるんじゃないかとか、そういったデータの裏を読んでもらいたいですね。

—データを読めば、あらかじめブラック探しができると。

 はい。ただし、単体の企業の数字だけを一面的に捉えるのでなく、必ず業界全体を見比べるのを忘れないでください。たとえば外食産業の場合はどの企業も平均値より離職率が高めになっていますから、ただ「高い!」と思うのではなく、必ず業界内で比べてみることが大切なんです。同時に業界内の平均も見えてきますから、その数字との乖離をみればより企業の実像が掴めるでしょう。会社全体の離職率と離職者数などもあわせてチェックしてほしいですね。ちなみに採用数でもブラック危険度はおおよその目星をつけることができます。たとえば、全従業員が100人で新卒を40人も採用していたら、3年後離職率が「NA」だとしても、これは…となりますよね。

—たしかに…。しかし、そんなディープなことが掲載情報からわかってしまうなんて、企業側も織り込み済みで情報提供してるんですか?

 そのあたりは企業により様々だと思いますが、同業他社が出さない情報は出さないとか横並びの意識などが見えてくることはありますね。ありがたいことに学生や大学のキャリアセンターが本誌を支持してくれていることで、その影響力を企業側も理解して協力してくれている面があると思います。調査そのものを受け入れてくれない会社さんは基本的に載ってきませんが、おかげさまでほとんどの大企業からはご回答をいただけています。

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 以上、『就職四季報』編集長のお話からは、以下のようにポイントがあげられる。

▶︎2016年度卒はスケジュール変更で先輩のセオリーは通用しない。長期化も視野に、動き方を考えるべし!

▶︎出版業界の現状は「大雨」続き。「それでもやりたい!」という意志が大事!

▶︎就活の相場観、視野を広げるためにも『就職四季報』の上手な活用を。データでブラック企業危険度も読める!

インターンシップなど、まさに水面下ではスタートしている就活戦線。今年は大手出版社のKADOKAWAも初めてインターンシップをはじめるというし、出版業界志望者も要注意の動きといえるだろう。
さて、次回はそんなKADOKAWAの人事部に直撃インタビュー。ニコニコ動画を運営するドワンゴとの合併など、出版社から巨大メディアミックス企業へと成長する中で、業界や人材をどう見るか、その内側に迫ります。乞うご期待!

取材・文=荒井理惠