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人間みたいに生きている

人間みたいに生きている

人間みたいに生きている

作家
佐原ひかり
出版社
朝日新聞出版
発売日
2022-09-07
ISBN
9784022518590
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人間みたいに生きている / 感想・レビュー

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美紀ちゃん

#NetGalley三橋唯は食べることが気持ち悪い。泉遥真は血しか飲めない病気。吸血鬼ではない。中1で発症。食べ物を口に入れると粘土とかクレヨンみたいに感じてしまう。コミュニケーション大事。ゼロか100かではなくていいと思う。ずっと1人だった泉さんはひと回りも違う女の子と接するようになりドキドキし臆病だった。唯は親の言いなりで自分の意見を言えなかったけれど、友達や紹介してくれた会の人と話すうちに、自分のモヤモヤを伝える努力をしようという気持ちになる。その成長する様子が良かった。ラストは微笑ましい。

2022/07/31

☆よいこ

YA。ものを口に入れて咀嚼して飲み込むことに嫌悪感をもつ、高校生の結は「食べること」が苦手だった。一緒に食事をすることは仲間との交流だったり、家族とのひと時だと頭で分かっているので、結は無理やりに食べ物を口に入れる。限界を感じていた時、結は「吸血鬼」と噂される泉(いずみ)と出会う。泉は遺伝性の病気で、人の血液しか口にできない体質だった。ひとりで大きな洋館に隠れ住む泉のもとに、結は平和を感じて通うようになる▽拒食症とは違う。ある種の摂食障害だろうけど個々で違う。悲劇的な結末でなくてよかったと思うことしきり。

2023/07/05

兵士O

この小説の読後の分岐点はこの主人公の唯の言動に共感できるか、それとも甘えと思うか、だと思います。前者の場合、唯のどうしても食べるという行為に拒絶反応を起こすが故の苦しみ、そして殆どの他人が食べることに幸せを感じていることから生じる彼女の孤独感が読者の心を打つのでしょう。でも僕は後者の方に心が振れました。それは唯の周りの全員が彼女に全然悪意を持っていないことと、そのことを唯が分かっているようで分かっていないからです。多分そのことも作者は意識していると思います。でもそんな唯の拠り所の泉という人物をどう思うか?

2022/12/02

よつば🍀

「生きるために食べよ」ソクラテスの名言だが本作の主人公・三橋唯は食べる事そのものに嫌悪感を抱いている。生きたいと思っていても食物を死骸と感じ、自らを誤魔化し口に入れては吐き戻す。親にも友人にも打ち明ける事が出来ず、日々をやり過ごさなければいけない彼女の苦しみが切々と伝わり胸が痛くなる。そんな彼女が出逢ったのは、食べたくても訳あって食べ物を受け付けられない泉遥真。二人からマイノリティゆえの不安や孤独を感じ、自分の知らない現実がある事を突き付けられる。人と同じである必要なんてない。皆が自分らしく生きられれば。

2022/09/27

がらくたどん

水と大気と光があれば自分を生かすエネルギーが作れる光合成生物だったら何と自由で清々しいことかと思ったことは確かにあるな。「食べる行為が気持ち悪い」という思いを隠して生きる少女が「血しか食べられない」奇病を持つ青年と出会い、摂食という行為に付加された生命維持以上の価値(所属意識や信頼関係の確認)の輪に入れないという自分の辛さの本質を見つめる物語。少女の饒舌な内言が「要するに」とまとめることなく丁寧に拾い上げられるので物語が流れて心地よい。「現場は身体」良い言葉だ。外野の教義より現場の声を大事に聴きたくなる。

2022/09/28

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