呪われたゲームが巻き起こす死の連鎖。哀切な青春ホラーミステリー『きみはサイコロを振らない』新名智インタビュー
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年6月号からの転載になります。
個性ある書き手が次々にデビューし、盛り上がりを見せている国内のホラー小説シーン。新名智さんもホラー小説の新しい波を支えるひとりだ。“人が死ぬ怪談”にまつわる謎を描いたデビュー作『虚魚』と、失われた物語を扱った『あさとほ』。壮大深遠なテーマを瑞々しいテイストで描いた2作は、ホラーミステリーの新たな可能性を示してみせた。
そんな新名さんが第3長編『きみはサイコロを振らない』で取りあげたのは“呪いのゲーム”の都市伝説。プレイすると死ぬというゲームをめぐって、不気味な事件が展開する。
取材・文=朝宮運河 写真=鈴木慶子
「もともとゲーム好きだったこともあり、ゲームとホラーを絡めた物語を書いてみようと思いました。ドアを3回ノックすれば現れるトイレの花子さんのように、怪談や都市伝説にはルールが決まっているものが多い。ホラーとゲームは相性がいいと思うんです」 主人公の志崎晴は、長野県の湖畔の町に住む高校生。いつもストップウォッチを持ち歩いている彼は、ボタンを押して出た数字で物事を決めてい…