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みかんとひよどり

みかんとひよどり

みかんとひよどり

作家
近藤史恵
出版社
KADOKAWA
発売日
2019-02-27
ISBN
9784041075456
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「みかんとひよどり」のおすすめレビュー

「ぼくたちは、殺した命に責任がある」――ジビエを通じて描かれる、人間の営みと大人の成長物語『みかんとひよどり』

『みかんとひよどり』(近藤史恵/KADOKAWA)

 昨日の夕飯に、なにを食べたか思い出してみてほしい。肉だろうか? 魚、それとも野菜? パンや米飯だけ? おそらくほとんどの人が、なんらかの形で動植物を口にしたことだろう。よっぽどケミカルなものしか口にしていないという人以外、あなたは昨夜、生きものを殺したのだ。あなたが食べるために──今日を、生きるために。

 そんなことを実感しやすいのも、ジビエの味わいのひとつだと言える。『みかんとひよどり』(近藤史恵/KADOKAWA)の主人公・潮田も、その味わい深さに魅入られた人間のひとりだ。

 潮田が料理の道を志したきっかけは、祖母に連れられて行ったフレンチレストランで、あまりのおいしさに感動したことだった。だが潮田は、渡仏して、料理学校などで優秀な成績を修めたにもかかわらず、帰国してからは店を3軒も潰している。祖母こそ健在だが、両親はすでに亡く、35歳にして妻も子供も、恋人もいない。相棒と言えるのは、猟犬として育てようともらい受けたイングリッシュポインターのピリカだけだ。

 なにもかもうまくいかない負の連鎖の中…

2019/3/1

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みかんとひよどり / 感想・レビュー

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hiro

多くある飲食店が舞台の小説の一冊だが、料理人とお客との関係が描かれるのではなく、フレンチレストランの雇われシェフ潮田、山で遭難しかけた潮田を助けた猟師大高の二人に、二人がそれぞれ飼っている二匹の犬が中心に進む物語。その中で起こる事件から、“命をいただく”ということの意味を改めて考えさせられる作品だった。そして最後に近藤さん『みかんとひよどり』という題名に込められた意味も見えてくる。男性二人のキラと対照的なオーナー澤山と店員若葉の女性二人のキラが光っていた。一度本格的なジビエ料理に挑戦してみたいと思った。

2019/04/06

旅するランナー

京都洛北のフレンチレストランシェフと猟師の間に生まれる、さっぱりとした男の友情。全く馴染みのない狩猟の世界。そのプラス面・マイナス面がバランスよく語られ、好感が持てます。軽めのミステリーを楽しみながら、ジビエ料理の驚きと情熱の味がもたらす感動を述べたくなるし、犬の背中をがしがしと撫でたくなります。

2020/04/06

紅はこべ

近藤さんの新グルメものかと思いきや、どちらかというとバディもの。色気はなかったね。

2020/02/15

なゆ

ジビエ料理、害獣駆除、そして野生の生命をいただくこと。なかなかの読み応え。フレンチの雇われシェフ潮田の、理想のジビエを追い求める奮闘。頑固だが腕のいい害獣駆除ハンター大高と共に行動したりするうちに…。ハンター事情、解体事情、害獣処理事情と、いろいろあるのだな。オーナーがかなり魅力的キャラ。いやしかしさすが近藤さん、手の込んだ美味しそうなジビエがいろいろ。余すとこなく、美味しく食べるって大事。ジビエ料理は苦手なほうだけど、もしかしたら本当に美味しいジビエに出会えてないだけかも、とか思ってしまう。

2019/03/20

のぶ

とても面白くて、夢中になってあっという間に読み切った。小説としての楽しさにビストロ・パ・マルのシリーズの要素が加わっていて、良く出来た作品だった。レストランのオーナーである潮田は、始めたばかりの猟で遭難してしまった。そんな状況で無愛想な猟師の大高に助けられる。大高の仕留めた獲物を見て、ジビエ料理を出したいと思い立つ。大高の仕留めた獲物を店で出せるよう交渉するが最初は断られる。交渉を続けるうちに交流が芽生えてくる。この人間ドラマも良いし、作中で描かれるジビエ料理が魅力的で食欲をそそられる。お薦めです。

2019/03/13

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