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稚児桜 能楽ものがたり (角川文庫)

稚児桜 能楽ものがたり (角川文庫)

稚児桜 能楽ものがたり (角川文庫)

作家
澤田瞳子
出版社
KADOKAWA
発売日
2023-03-22
ISBN
9784041131060
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稚児桜 能楽ものがたり (角川文庫) / 感想・レビュー

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クプクプ

本書は能がテーマで8話からなる短編集で雑誌連載のため、澤田瞳子さんに文字数制限が与えられた作品です。表題作の「稚児桜」や、最後の短編の「照日の鏡」がよかったです。人間の欲望や運命が尖って描かれ、自分を重ねて楽しめました。自分が普段、人間として当たり前だと思っていたことも改めて再認識する読書になりました。文字数が少ない割に文章が凝縮され、やや重たい読み心地でしたが、澤田瞳子さんと年齢の近い私には、文章の意味がわかり、個性的な作品として成功していると感じました。

2023/05/19

けやき

能の名曲から着想を得た短編集。能は門外漢なので分からないが良質な時代小説を楽しめた。能を知っていればより楽しめるだろう。ある僧侶が猟師の妻に絡めとられていく「猟師とその妻 善知鳥」が1番よかった。どうしようもない運命にあらがおうとする人々の話でした。

2023/04/08

エドワード

能の幽玄なるテンポは、観る人をして眠らしめる。序破急と呼ばれる筋立てに四番目のヒネリを加えた、アイデア満点の能楽ものがたり。刀剣造りの「小鍛冶」は、刀が出来てめでたし、で終わらない。「善知鳥」「雲雀山」「班女」も形見の品や恋しき人に逢えてめでたし、で終わらない。その後の切った張ったの人間ドラマが想像力豊かに描かれる。「葵上」に登場する悪霊祓いの照日の前と憑坐役の少女のセリフ「生霊なぞこの世にいないのではないか」に仰天する。今でこそ伝統芸能である能も、中世には恐らく、観客をして笑わせ泣かせたに違いない。

2023/05/05

ひさか

月刊なごみの連載(2017年7月~2019年6月)「能楽ものがたり」をもとに加筆して2019年12月淡交社刊。加筆修正し、2023年3月角川文庫刊。やま巡り-山姥、小狐の剣-小鍛冶、稚児桜-花月、鮎-国栖、猟師とその妻-善知鳥、大臣の娘-雲雀山、秋の扇-班女、照日の鏡-葵上、の8編の時代小説。元の能楽のイメージを借りた澤田さんの哀しいもの、滑稽なもの等々の喜怒哀楽多彩な展開が面白い。小狐の剣あたりが楽しくて好み。

2023/05/30

Y.yamabuki

能の演目を下敷きにした創作短編。人の本性、人の業を描いてなお味わい深く、巧みな筆致に魅力される面白い作品だった。解説から元の能の演目とこの作品の関係がわかり興味深い。能には登場する幽霊、草木の精などが現れず、あくまで人間の物語として描かれているため結末の趣が変わってくるようで、余りハッピーエンドではないことに成る程と得心した。記されている能の原曲について調べてみようか。

2023/06/08

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