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ゼロの王国

ゼロの王国

ゼロの王国

作家
鹿島田真希
出版社
講談社
発売日
2009-04-21
ISBN
9784062154147
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ゼロの王国 / 感想・レビュー

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そうたそ

★★☆☆☆ どうやらドストエフスキーの「白痴」をベースにしているらしい作品。物語の大半が会話によって進められるという構成。海外文学には疎いのでどの辺が「白痴」をベースにしているのか等々、全くわからなかったが、とにかく淡々と続く吉田青年と他の面々との会話に始終退屈し通しだった。鹿島田さんの作品の中ではこの作品だけがやや異質な位置にあるのかなという印象は抱いた。もっと砕けた感じの内容をイメージしていたのだが、この何とも哲学的な感じに慣れることができず。傑作なのかもしれないけれど、人に薦めにくい作品だ。

2014/02/28

ミエル

久しぶりの文学らしい文学を堪能。導入部から世界感についていけるか不安だったわりにはのめり込む。高潔な愚者の青年と邪気と狂気を隠し持ったそれぞれの人物が愛の定義を語り、男女の非両立な思いが面白い。

2017/08/21

Roy

★★★★★ 前にも書いたが鹿島田真希の作品は、過剰な人物が織り成す滑稽な会話が魅力の一つだと思う。本作でもその魅力は遺憾なく発揮され、徐々に明後日の方向へと膨らむ過剰な文語調の会話が滑稽過ぎて笑ってしまう。「生」に対する哲学も感じさせ、この先僕にとっての生(聖)の教科書となるに違いない。人生の岐路に立った時、生に嫌悪を感じた時、悪に手を染めようとした時、改めて再読することになるだろう。聖なる愚者とはかくも素晴らしいものなのだろうか!健全な人間は常に計算をし、なかなか聖なる愚者にはなりえない。

2009/05/14

風眠

会話劇というか、ひとり芝居というか、長~い独り言をずっと聞いている感覚というか。こういう表現の文章をはじめて読んだので、正直「おもしろい」とは思えなかったのだけれど、なぜか先を読んでしまう本だった。どことなく芝居がかったよう文章が、ちょっとクセになる感じ・・・? 何年後かに読み返してみたら、その時の私はどんな風に感じるのだろう。

2012/08/24

みみみんみみすてぃ

★★★★★★★★★ 素晴らしい!「愛、恋愛」を中心に据えた、本格的なフランス的な文学作品。情景描写などはほとんどされず、主人公の吉田青年、田中エリ、佐藤ユキ、小森谷兄、瞬の会話が延々と続く。この大作を読んでいると、愛と共産主義社会(ユートピア)は関連づけられている、というか「共産主義的な発想だな」と思っていると別の社会作りの話が出てくる。佐藤ユキの統合失調症的なキャラクターと、吉田青年という主人公は素晴らしい。日本でこんなすごい大作が読めるとは。

2016/03/20

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