悪寒 (集英社文庫)
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「悪寒 (集英社文庫)」のおすすめレビュー
憎んでいた上司を殺したのは、自分の妻だった!? 悪寒が消えない衝撃のミステリー
『悪寒』(伊岡瞬/集英社文庫)
心の距離は、物理的な距離に比例するのだろうか。単身赴任中のサラリーマンは、赴任先でどのような思いを抱えて仕事に取り組んでいるのだろう。慣れない地での慣れない一人暮らし。遠くに置いてきた妻や子に会いに行きたいと思いつつも、そう簡単に会いに行くこともできない。
伊岡瞬著『悪寒』(集英社文庫)は、そんな寂しい単身赴任生活を送っていた男が事件に巻き込まれていく姿を描いたミステリー。上司が殺害され、自身の妻が犯人として名乗り出る、という悲劇の中で慌てふためく男の姿があまりにも悲しい。一体、単身赴任中に何があったというのか。瞬く間に変化する展開から目が離せない衝撃のミステリー作品だ。
主人公は藤井賢一・42歳。大手製薬会社に勤務していたが、ある不祥事の責任を被って、系列会社に飛ばされてしまった人物だ。社内でもっとうまく立ち回れれば、めったに戻れないような単身赴任などせずに済んだのかもしれない。慣れぬ山形という土地での生活。元々営業出身ではないのに、飛び込み営業を担当させられ、成果を上げられない日々。そんな鬱屈とした単身赴任生…
2019/9/5
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みなさんは普段本を選ぶ時、何を基準にしているだろうか。 私の場合、好きな作家さんの作品をゆっくり読破しつつ、 新しい作家さんの作品を読む時は、タイトルと直感で決めることが多い。 そして帯の文字にときめくことも多々ある。 今回紹介する『悪寒』は、直感で読んでみたいと思い、帯を見て即購入を決めた作品だ。 私が惹かれた一文にはこう書かれていた。 「憎んでいた上司が殺された。犯人は自分の妻だった。」 そう、この物語はこの絶望的な状況から始まる。 『悪寒』の物語は、とある単身赴任中の男性が妻から1通のメールをもらったことがきっかけで動き出す。 その後、彼の元へ警察から連絡が入り、妻が彼の上司を殺害したことを知る。 何が真実か分からない第一章はまさに"悪寒"という言葉がぴったりで、 文章の至る部分に常にうっすらと寒気が漂っていて、ページをめくる手がとても重く感じた。 中でも印象的だったのは、この男性を取り巻く女性達だ。 認知症の母、思春期真っ只中の娘、誰もが認める魅力的で美人な妻、美人で雰囲気が似ている妻の妹。 こ…
2020/10/31
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悪寒 (集英社文庫) / 感想・レビュー
W-G
広い層に受け入れられそうな作品という印象で、実際売れてもいるらしい。内省的な冴えない中年男性と自己主張ビンビンな女性陣の対比は、なぜこうも鉄板フォーマット化しているのか。話の軸が見えず、賢一が疲れていく描写が続き、途中やや退屈した。裁判が始まって一気にテンポが速くなったが、緩急つきすぎてやや不自然。真相に気づくキッカケなどは本格ミステリ的で「お!」っと思ったが、こういう心理的矛盾をヒントに使うなら、倫子の人物造形に違和感あることが気になる。夫と娘がいたうえで、ああいう行動に走る女性に思えない。
2020/01/23
イアン
★★★★★★★☆☆☆『代償』『痣』と世界観を共有する伊岡瞬の長編。左遷人事で単身赴任となった賢一の元に、妻から不可解なメールが届く。胸騒ぎを抑えられない彼の元にその後届いたのは、自宅で妻が上司を殺したとの警察からの一報だった…。左遷先のパワハラ、家庭内の不和、認知症のオカン…。自身にも原因の一端があるとはいえ、賢一の不遇過ぎる境遇が切ない。犯人の動機に疑問が残るものの、ホワイダニットと見せかけて二転三転するラストにもミステリの醍醐味が凝縮されており、嫌悪感を抱かせる人物がちゃんと登場する、これぞ伊岡作品。
2021/02/28
shinchan
伊岡さんを初めて読みました。非常に読みやすい内容で結末の二転三転には・・・・。犯人を当てるのはなかなか難しいものです。私には???
2020/02/27
milk tea
次の展開が気になり最後まで一気に読み進めてしまった。主人公・藤井賢一は社内の不祥事の責任を取らされ、山形へ単身赴任。慣れない営業を担当することになり、一向に成績上がらず支店長からのパワハラを受ける。その頃、妻から要領を得ない不可解なメールが届く。そこから事件へと続く。妻・倫子の身に何が起こったのか?犯人が二転三転?倫子の妹の心に深く刻み込まれている「もらわれっこ症候群」。この真実にも驚いた。一度は家族がバラバラになりかけたけど、安堵感のある結末でよかった。真壁刑事の存在が光ってた。
2020/09/04
のり
大企業にこだわりすぎ、見切りをつけるタイミングを逃した為に家族に災いが…殺人という重い事実だけが残る。あまりにも身勝手な人達に何度も怒りを覚えた。道徳心に欠ける。家族愛も沢山感じとれたが、彼女がとった行動は家庭崩壊を招くし、行き過ぎた行為である。特に多感な時期の娘を傷つけたのは否めない。それでも凍りついた雰囲気は払拭されつつある。
2020/06/01
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