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カラフル

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作家
阿部暁子
出版社
集英社
発売日
2024-02-26
ISBN
9784087901528
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「カラフル」のおすすめレビュー

恋ってこういう状態のことを言うのかも。夢を奪われた高校生男女が、青春のなかで見つけた再生の物語『カラフル』

『カラフル』(阿部暁子/集英社)

 高校生の頃、すでに夢を見つけている人もいたし、夢を探している最中の人もいた。すでに夢を見つけていた人は、必死に夢を追いかけていたように思う。けれど、もし、夢を追いかけている人が、予期せず夢を奪われてしまったら…。その人は、心を閉ざして過去を忘れようとするだろうか。それとも、未来の自分に目を向けて新しい夢へと歩み出すだろうか。

 作家・阿部暁子さんの新刊『カラフル』(集英社)には、夢を追いかけられなくなった少年と少女の再生と恋の物語が描かれている。

●伊澄と六花、最悪の出会い

 荒谷伊澄と渡辺六花は同じ学校に通う高校1年生。初めて会ったのは、高校入学式の朝だった。伊澄が駅のホームに降りると、「泥棒」という声がする。近くに、ひったくり犯がいるようだ。それよりも驚いたのは、少し離れた前方のドアから、駅員が置いたスロープを伝って車椅子で降りてきた少女が、車椅子のタイヤについたリングを握り、泥棒に向かって勢いよく前進したことだった。その少女こそが、渡辺六花。この一件のあと、伊澄は六花が同じ高校であることを知る。六花は気の強い発言…

2024/2/27

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カラフル / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

さてさて

『あれから、なんか俺の世界、カラフルになったんだ』。そんな言葉をふと呟く主人公の伊澄。『車いすの少女』を描いた表紙が物語を象徴的に表してもいくこの作品。そこには、『障がい』を語ることを『個性』という言葉で逃げない、阿部さんの強い意志を感じる物語が描かれていました。『車いす』視点の登場人物を中心に据える物語の中にさまざまな気づきを見るこの作品。単なる気づきにとどまらずその先の一歩を大切に考えるこの作品。この感想で、この作品のことを知ってくださった一人でも多くの方に是非読んでいただきたい素晴らしい作品でした。

2024/03/02

hiace9000

今を描く青春小説のスタイルは、中高生が手に取り"読んでもらえる"作品。ターゲットエイジはたぶんこの世代。されど最も"読むべき"はもっと上、大人世代であるようにも。登場人物を通して外から見る社会通念感覚で行ってきた障がいのある人への無自覚の差別、あるいは善意や配慮であるかのようにしてとってきた差別的態度や行為がこれまでどれほどあったことか…。車いすユーザーの立花や、大きな挫折から前が向けなくなった伊澄ら高校生たちの自己省察からの自己開示、そして鮮やかに変容し成長する様に、大人世代はハッと胸を突かれるはずだ。

2024/04/13

おしゃべりメガネ

書店の平積みで見かけて気になっていた作品。決して野次馬根性的な意味合いではなく、純粋に車いすユーザーの話とは果たしてどういうモノなのか、とても興味関心がありました。車いすユーザーの女子高生「六花」とちょっとやさぐれ感のある男子「伊澄」はひょんなコトから駅で初対面し、同じクラスであるコトもわかります。最初はあらゆるコトに戸惑いを隠せなかった「伊澄」が少しずつ、車いすユーザーに理解を深めていきます。クラスのメンバーもあらゆる本音をぶつけながら、成長していきます。決してキレイごとだけが書かれていない作品でした。

2024/03/24

がらくたどん

高校の入学式当日、ひったくりとの悲鳴に走り出した男子高生の眼前で犯人を足止めしたのは一台の車椅子に乗った女子高生。「気が強そう」「無神経」最悪の第一印象なのに同じクラスとは。好意というより好奇心。王道のboy meets girlは、車椅子ユーザーになったことで夢見た道を閉ざされたが新たな未来を模索する少女の存在で多様性への正直な不安とそれでも湧き上がるワクワク感が混在する世界を描き出す。「神様は扉を閉める時、別のどこかで窓を開けてくださる」世界が多様なほど窓は開きやすくてそこから見える景色はカラフルだ♪

2024/04/05

美紀ちゃん

阿部暁子さんの「金環日蝕」がいちばん好き。青春って素晴らしい。「車いすじゃなくて人間です」と言葉のあやをとって言った渡辺立花。でもそれを聞いて荒谷伊澄は衝撃をうけた。その時のことを「なんか俺の世界がカラフルになったんだ」と言った。自分自身であるために闘う立花がとても色鮮やかに見えたから。駅でいつもスロープを出してくれる長谷川さんの言葉に泣けた。40キロの強歩。虹が出ていて素敵なシュチュエーション。もうこれは、今!告白しちゃうしかないよね。悪意のない差別。学校行事でクラスの結束も強くなるよね。青春バンザイ!

2024/03/19

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