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愛なき世界 (単行本)

愛なき世界 (単行本)

愛なき世界 (単行本)

作家
三浦しをん
出版社
中央公論新社
発売日
2018-09-07
ISBN
9784120051128
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「愛なき世界 (単行本)」のおすすめレビュー

植物に一生を捧げる!? 三浦しをんが描く新しい“愛”のかたち

『愛なき世界』(三浦しをん/中央公論新社)

 三浦しをんさんの新作『愛なき世界』(中央公論新社)、タイトルが意味するのは植物のことだ。脳や神経のない植物には、思考や感情がない。つまり人間が言うところの“愛”という概念がない。

「それでも旺盛に繁殖し、多様な形態を持ち、環境に適応して、地球のあちこちで生きている。不思議だと思いませんか?」と主人公である料理人の藤丸くんが恋したT大院生の本村さんは言う。「だから私は、植物を選びました。愛のない世界を生きる植物の研究に、すべてを捧げると決めています。だれともつきあうことはできないし、しないのです」。と、物語の早々でフラれてしまう藤丸くん。

 けれど、働いている洋食屋の出前を研究室にたびたび届けることで、本村さんとの交流は続く。植物のことはわからないけれど、確固たる信念で研究に情熱をそそぐ彼女の姿に藤丸くんはますます惹かれ、興味深く話を聞いてくれる彼の人となりに、本村さんもまた好感を抱いていく。研究者気質&料理人のカップルといえば『舟を編む』(三浦しをん/光文社)の馬締と香具矢を思い出す人もいるだろうが、彼ら…

2018/9/22

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 16回目となる今回のノミネート作品10作の中から大賞に選ばれたのは、瀬尾まいこ氏の『そして、バトンは渡された』(文藝春秋)!

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■気になるその他のノミネート作品は――

■2位 『ひと』(小野寺史宜/祥伝社)

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■5位 『ある男』(平野啓一郎/文藝春秋)

■6位 『さざなみのよる』(木皿泉/河出書房新社)

■7位 『愛なき世界』(三浦しをん/中央公論新社)

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2019/4/9

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■2019年本屋大賞ノミネート10作(作品名五十音順)

『愛なき世界』(三浦しをん/中央公論新社)▶【レビュー全文はこちら】

『ある男』(平野啓一郎/文藝春秋)▶【レビュー全文はこちら】

『さざなみのよる』(木皿泉/河出書房新社)

『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ/文藝春秋)▶【レビュー全文はこちら】

『熱帯』(森見登美彦/文藝春秋)▶【レビュー全文はこちら】

『ひと』(小野寺史宜/祥伝社)

『ひとつむぎの手』(知念実希人/新潮社)▶【レビュー全文はこちら】

『火のないところに煙は』(芦沢央/新潮社)▶【作者インタビュー記事はこちら】

『フーガはユーガ』(伊坂幸太郎/実業之日本社)▶【レビュー全文はこちら】

『ベルリンは晴れているか』(深緑野分/筑摩書房)

 気になる大賞発表は4月9日(火)。ノミネート作を読み…

2019/1/22

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愛なき世界 (単行本) / 感想・レビュー

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ろくせい@やまもとかねよし

東京本郷の個人経営定食屋に住み込み就職した若い男性。植物の研究がしたく私立大学から国立大学大学院に進学し孤軍奮闘する若い女性。彼らの人間味溢れる恋愛物語。晴れ晴れとした読了感を与える良書。知的欲求から生じる利己は、他者に人間として生きる感動をもたらすことを表現すると感じた。料理と植物研究を対比しながら、地球上で「生きる」ことを考察する展開。人間が抱く知的興味や思考は尊く貴重で、功利ではなくそれに没頭する行為には言葉で表せない感動があることを再認識。損得勘定を超えるこのような情緒的感情を大切にしたい。

2019/08/10

starbro

三浦 しをんは、新作中心に読んでいる作家です。タイトルからの予想と異なり、少女漫画的東大植物愛ラブコメディでした。私は、気孔や松茸柄のTシャツを着た女性を好きにはなりません(笑)洋食屋「円服亭」のオムライスを食べてみたいなぁ。実は地球は、植物が支配しているという説を想い出しました。

2018/10/06

ウッディ

洋食屋見習いの藤丸は、ランチの出前で足を踏み入れた東大理学部の生物研究室で、植物の研究に情熱を傾ける人達とシロイヌナズナを愛する本村さんと出逢い、恋に落ちる。分野は違っても1つのことを探求する人に分かり合える景色がある。藤丸君と本村さんの歯がゆい恋の行方もさることながら、研究室アルアルや研究がうまく行った時の全能感やミスした時の絶望感、研究者の端くれとして共感しまくりで、これを書くのにどれだけの取材をしたのかという驚きと自分の言葉でわかりやすく伝えるしをんさんの筆力に脱帽でした。とっても面白かったです。

2019/02/03

bunmei

『舟を編む』でも感じましたが、テーマに沿った専門的な知識に裏付けされた描写力は見事だと思います。今回テーマは、植物生物学。研究に関わる内容は、リアリティさがある分、正直、難解でしたが、植物の世界も奥が深いなぁ、と感じます。ただ改めて、三浦作品の根底には、人の心の温かさや絆、そして万物への愛情が流れていることも確かです。洋食屋の店員・藤丸とT大の研究生・本村との不器用な恋の行方は、表題名とは裏腹に、2人の周りの人々も含めて、愛情いっぱいの人達ばかりで、この続きが読みたくなると思います。

2018/11/26

うっちー

三浦さんの執筆にあたっての探究は凄いものがありますが、少し専門的すぎました

2018/11/05

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