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大名倒産 下

大名倒産 下

大名倒産 下

作家
浅田次郎
出版社
文藝春秋
発売日
2019-12-06
ISBN
9784163911403
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「大名倒産 下」のおすすめレビュー

【試し読み】笑いあり涙あり!『大名倒産』に欠かせぬ三枚目・新次郎の恋の行方は!?

『大名倒産』(上下巻)(浅田次郎/文藝春秋)【あらすじ】  足軽の子かと思いきや、お殿様ご落胤と判り、あれよあれよと大名となった小四郎、いや、越後丹生山三万石松平和泉守信房。よもやまさかの思いも冷めぬまま初登城を果たしたお殿様を待ち受けていたのは――

「御尊家には、金がない」

 老中からの無情な宣告に慌てて調べてみれば、なんと御家は火の車。 「父上にお訊ねいたします。当家には金がないのですか」

「金はない。だからどうだと言うのだ」

 かさみにかさみ、積もりに積もった借金にほとほと嫌気がさした先代、御隠居はこう考えた。  もはや、これまで。返済など夢のまた夢、利子支払いすらおぼつかぬ巨額の借金でしか維持できぬ御家なら維持すべきでないのだ、取り潰し結構、やってもらおうじゃないか、それまでに隠し財産貯め込めるだけ貯め込んで、当代(つまりは息子です、ひどい……)ひとりに腹を切ってもらって我らはのんびり余生を過ごそうぞ。  そうとは知らぬ若きお殿様は、幼馴染のご家来とともに金策に頭をひねる。

 幕府への献上品の不渡をなんとか都合し、次なる難関は、参勤交代の費用。最…

2020/1/2

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財政状態は火の車。突如トップの座につかされたあなたならどうする?――浅田次郎『大名倒産』

『大名倒産』(浅田次郎/文藝春秋)

 ちょっと想像してみてほしい。

 あなたは小規模、けれども伝統ある会社の社長だ。父親が先代社長だったので後継者に選ばれた。だが、実は四男である上、愛人との間にできた庶子だったりするので、本来ならお鉢が回ってくるはずはなかった。

 ところが諸事情重なって、突然有無も言わさずトップの座につかされた。しかも、蓋を開けてみたら会社の財政状態は火の車。このままでは早々に倒産である。その上、父はなにやら自分に内緒で良からぬことを企んでいる様子……。

 こんな八方塞がりの状況にいきなり放り込まれたら、あなたならどうするだろうか?

 浅田次郎の新刊『大名倒産』(文藝春秋)の主人公・小四郎こと越後丹生山藩の大名 松平和泉守信房が置かれているのは、まさに「こんな八方塞がりの状況」だ。

 領地の石高は3万石。一石とは「一人の人間が1年間に食べる米の量」なので、丹生山藩はおおよそ3万人分の人間を1年間養えるぐらいの生産性を持つ土地、と幕府に見なされていることになる。加賀百万石や伊達六十万石に比べたら微々たるものだが、一応は領地にお城を持つことが…

2020/1/2

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大名倒産 下 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

starbro

上・下巻、700頁完読しました。面白くなくなくはないですが、少し冗長な感じがしました。江戸幕府も末期は、制度疲労していたんでしょうね。現実に救う神はいないので、ほとんどの藩が困窮していたんだと思います。 https://twitter.com/daimyou_tousan

2019/12/29

パトラッシュ

(上巻から続く)周五郎の昭和的重さと浅田の平成的軽さの違いかもしれないが、現代の読者に合っているのは確かだ。今回も実に楽しく読めたが、唯一不満なのは短すぎたこと。同じ幕末期を扱った『一路』や『黒書院の六兵衛』はテーマが明確でストレートな展開だったが、本書は時代との関わりや小四郎の父母の話、幕閣や大商人の動きなど倍くらい面白い話が書ける素材を詰め込みながら消化不良に終わっている。大名倒産という前代未聞の企てに走った御隠居様が繁文縟礼にまみれた幕藩体制を自ら打倒せんとする大胆な叛逆者だったら一層面白かったが。

2020/01/10

やま

東照神君家康公が天下を統一してから二百六十年の長きにわたり、銭勘定に疎く、銭金を不浄のものとする武士が、まともな領地経営など出来るはずがない。越後丹生山藩三万石の代々の当主は、その結果として、借財二十五万両となり、その利息が三万両。それをまかなう収入が一万両。しかし、先代当主に捨てられて足軽に育てられた十三代当主・小四郎は、足軽の子として育てられたがために、銭金の重みを知っている。字の大きさは…小(字が薄い) 🌿続く→

2021/05/24

修一郎

七福神の方々の後押しのおかげで殿様の取り組みは都合よくするする進むけど諸事情抱えた七福神のエピソードが楽しいのでよし。板倉周防守はやはりここでも名宰相でした。財政再建の基本は倹約/視える化/殖産興業,いつの世でも同じですな。浅田さんと同じで私も飯がすすむヘビィな塩じゃけ好きですよ。ここで財政再建しながらこの数年後には御一新なんですよねぇ。。江戸末期の大名台所事情。ああ楽しかった。

2020/04/11

うののささら

江戸時代の武士って、お家のため子孫を残すことをなにより大事にしてきたんだな。先祖が代々守り続けたものを次の世代に引き継いでいく。見えざる先祖の魂に問いかけられながら平穏無事な人生を果たしていく。ただ御家の業を背負ってしまう不幸な人生もあるんだろうな。プレッシャーだね。そこには神の介在を考えてしまうんだな。久々の浅田次郎おもしろかったです。

2020/08/29

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