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猫がこなくなった

猫がこなくなった

猫がこなくなった

作家
保坂和志
出版社
文藝春秋
発売日
2021-01-14
ISBN
9784163913148
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「猫がこなくなった」のおすすめレビュー

『猫がこなくなった』――自由な言葉の運動に引き込まれて“世界”が広がる。刺激的でたまらなく面白い、保坂和志最新作!

『猫がこなくなった』(保坂和志/文藝春秋)

 小説家にはそれぞれ独自の文体や作風があるものだけれど、個人的に保坂和志ほど読んでいる最中に「いま自分は保坂和志の文章を読んでいるなぁ」と、書き手の存在を意識させられる小説家はいない。それは保坂和志の小説が、“ストーリー”の動きではなく、保坂和志本人の“思考”や“記憶”の流れを文章にして、その文章の動きによって、簡単に言葉にできない何かを描こうとしているように読めるからだ。こう書いてしまうと「それは小説ではなく、エッセイではないか」と思う人もいるかもしれない。しかし、保坂和志の作品について、その区別はとくに重要ではないと思う。フィクショナルな登場人物やストーリーの起伏ではなく、言葉の運動そのものに引き込まれてしまう感覚こそが、保坂和志作品の大きな魅力だからだ。

 最新刊『猫がこなくなった』(文藝春秋)も、そうした保坂和志を読む面白さを堪能できる短編集だ。収録されているのは次の9編。

「猫がこなくなった」 「特別に忘れがたい猫」 「ある講演原稿」 「秋刀魚の味と猫算」 「花揺れ土呟く」 「カフカの断片」 「胸さ…

2021/1/14

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猫がこなくなった / 感想・レビュー

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starbro

2/22用に図書館に予約していましたが、配本の関係で3月に読みました。ペットロスの名作絵本『チャーちゃん』に続いて、保坂 和志、2作目です。私小説とエッセイの中間の様な不思議な味わいの短編集でした。野良猫はやっぱり身体を触らせないことが良く解りました。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163913148

2021/03/02

みかん🍊

猫というのに惹かれててにとったが1章2章は家の中でも猫を飼っているが、外猫にも毎日餌をやり一時期増えすぎた猫を避妊手術もして長年の内に2匹になってしまったがその猫が来なくなってしまった、うちの猫と思っていたが他にも通う家があったのか、同じ様に猫の世話をしている友人との猫談義と猫愛溢れたエッセイ?だったが、後は猫はほぼ出てこずザッと流し読みして挫折、芥川賞作家さんらしく読みにくく挫折してしまった、古い本かと思ったら今年発行されてたのね。

2021/06/12

kei302

何も起きないけど、何だか懐かしい気持ちになる、句読点を打つルールが独特、時代小説から現代にシフトした乙川優三郎氏の文体と似ている、同じ、たぶん、保坂氏が先、知らんけど。(まねしてみました)「猫がこなくなった」「特別に忘れがたい猫」「ある講演原稿」「秋刀魚の味と猫算」「花揺れ土呟く」「カフカの断片」「胸さわぎ」「『事の次第』を読んでる」「夜明けまでの夜」タイトルを見ただけで気になる気になる気になる。キミコのまねして三回言ってみました。猫に期待せずに読みましょう(=^..^=)ミャー

2021/03/04

フリウリ

「猫がこなくなった」は、保坂氏の猫関連小説のなかでは、もっとも猫のことがよくわかったという気がしました。保坂氏は猫のことになるとやたら理屈っぽい(本書所収の「夜明けまでの夜」も)わけですが、「猫がこなくなった」では猫好きの二人の間では、理屈を言葉化しなくても会話は進むことが描かれていて、かえって猫のこと、猫にこだわる人(著者も)のことがよくわかるように思いました。保坂氏の小説は、わたしには、よいものとそうでないものが分けられるのですが、そういうことはないでしょうか? だから、どうともないのですが。8

2023/12/14

たびねこ

相変わらず、猫を中心にした短編集。表題作の「猫がこなくなった」は、家にやってくる猫が自分の家以外では、どうふるまっているかをこと細かに描く。猫好きでなければ読むのはしんどいだろう、著者以外書けない作品。猫の生死をパラレルワールド的にとらえる「夜明けまでの夜」も難解ながらユニーク。もはや哲学の境地。

2021/08/08

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