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闇の歯車 (文春文庫 ふ 1-70)

闇の歯車 (文春文庫 ふ 1-70)

闇の歯車 (文春文庫 ふ 1-70)

作家
藤沢周平
出版社
文藝春秋
発売日
2018-05-10
ISBN
9784167910693
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闇の歯車 (文春文庫 ふ 1-70) / 感想・レビュー

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やま

闇の歯車 2018.05発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。盗賊伊兵衛と素人で、近江屋の金を盗む物語です。伊兵衛は、盗みを働く時々に、必要な人数の素人を集めて押し込みを働き、終わると解散する方法で、今まで奉行所に捕まらずに押し込みを働いて来ました。此度も、金を必要とする素人4人を集めて押し込みを行いますが、その後に、次々と死んでいきます最後は皆死んでいくのか…と、思ってしまう成り行きです。藤沢周平さんの本を久し振りに読みました。最後まで読み手を飽きさせない描写に、ついつい引き込まれて行きます。

2020/10/08

海猫

愛想のいい商家の旦那ふうの伊兵衛が、4人の男たちを押し込み強盗に誘う。時代ケーパー小説というべき内容。4人それぞれ鬱屈や事情を抱えており、強盗するべき理由がある。各人各様が簡潔ながら切実に描かれ、引き込まれてゆく。作品の雰囲気がミステリアスで、ぴんと一本緊張感が通っている。なので犯行の場面はサスペンスフル。人生を賭けた押し込みが結果として金銭を得るとはいかず、それぞれに皮肉な形にはね返る様には悲哀を感じてしまう。藤沢周平作品としては文章も話も硬質な感じだが、読み終わるとやはり藤沢周平作品らしい感慨が残る。

2022/02/08

ケンイチミズバ

冒頭からそして作品全体のミステリー構成の妙技が素晴らしい。抜き差しならない境遇のキャラクターたちの人間描写が犯罪に手を染めることを決めるまで、そして実行までとその後の悲しい展開への流れが読者を惹きつけます。人の弱い面、ダークサイドに引き摺り込まれるのか、かろうじて抗うのか、各々の前途を心配しながら読んだ。人はこうやって悪の道にはまって行くのか。人の弱みを探り、ここぞのタイミングで話しかけ、言葉匠に話にのせようとする。誘う男は人の心に元から巣くう悪の芽なのかもしれない。そして悪の中にも多少の善が生きている。

2021/02/15

佐々陽太朗(K.Tsubota)

書き出しの一行にしびれた。「暑い夜だった。そして夜は始まったばかりだった」、ウィリアム・アイリッシュの『幻の女』の書き出しを彷彿とさせる。 五人の悪党が登場する。一緒に押し込みをはたらく。藤沢氏はそのそれぞれに別々の末路を用意する。まるで素材に合わせて料理するように。非情で容赦ない末路もあれば、しんみりとするもの、心が温かくなり未来を予感させるもの。なかなかの名料理人である。

2018/05/29

ケイト

題名から不穏な空気が漂うなか、居酒屋に4人の常連客。それぞれが抱える心の闇、それにつけ込む一人の男。誘惑に負け悪に手を染めていく男達の心理描写に、鋭い文体に引き込まれる。思わぬ展開にドキドキしたけど、真っ当な人生が一番の幸せだと気づかせてくれる終わり方。

2022/10/05

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