白光 (文春文庫 あ 81-2)
白光 (文春文庫 あ 81-2) / 感想・レビュー
エドワード
常陸国笠間藩の下士の家に、絵が大好きな娘がいた。山下りん。自己主張の強いりんは、文明開化の世に、絵を学びに東京へ飛び出す。工部美術学校でイタリア人・ホンタネジーに洋画を学ぶが、彼の後任とあわず、ロシア正教会の画工となり、ロシア留学の機会を得る。しかし留学先の修道院で当たる大きな壁。「聖像画は芸術であってはなりません」ルネサンス風の絵画ではなくギリシャ風のイコン修行の日々だ。驚き、反発し、苦悩するりんの姿は、先進国へと走る日本の歩みに重なる。ずっと後で彼女は教えを理解し、日本随一の聖像画家となる。大作だ。
2024/04/21
てつ
まかてさんの本は表現が柔らかく自然で美しい。日本人初のイコン画家山下りんの生涯を描く。何かに打ち込む表現者を描かせると天下一品。ロシア正教会に興味がなくとも、美術的素養がなくても没頭して読める名作です。
2024/04/27
TKM
恋歌、眩、本作、朝井まかてさんは、鉄火な女性を描かせたら本当に魅力的!
2024/04/22
koba
明治の世に、言葉も知らぬロシアの地へ。日本初の宗教画家、山下りんの波乱の生涯を本書で知る。
2024/03/26
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