KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

作家
大前粟生
出版社
河出書房新社
発売日
2020-03-11
ISBN
9784309028743
amazonで購入する

「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」のおすすめレビュー

恋愛関係になったとたん“男”と“女”になるのがこわい…。全身全霊で女性差別に傷つくやさしすぎる男の子の物語

『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(大前粟生/河出書房新社)

 そんなに傷つかないでほしい、と『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(大前粟生/河出書房新社)を読んで思った。「全身全霊で女性差別に傷つく男の子の話を書いてください」と編集者にいわれた著者の大前さんが、フェミニズムのことを考えるようになったのは2016年から。そのくだりはWebで公開されている刊行に寄せたまえがきにあるのでぜひ読んでいただきたいと思うが、〈(フェミニズムや男性の加害性について書かれた)すばらしいどの本を読んでも、ひとりの人間として真っ当に生きていきたいと勇気づけられると同時に(略)「男でごめんなさい」という気持ちで日々を過ごした〉とある。それはフェミニズムのせいではなく差別するしくみを強固にそなえている社会のせいだ、と感じる大前さんが、できるだけ過剰にならないように、誠実に綴った物語が表題作だ。

 主人公の七森は大学生の男の子だが、やっぱりやさしすぎて傷ついている。背が低くて細いから、「女の子みたい」「かわいい」と女子にまざって遊んでいた高校時代。それを馬鹿にしてきた男子…

2020/3/13

全文を読む

おすすめレビューをもっと見る

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

こーた

当方、ぬいぐるみが大好きである。いい歳をしたおっさんが、などと恥ずかしくおもうこともあるが、その恥ずかしいという感覚そのものが、ひょっとすると世界を歪め、人知れず誰かを傷つけているかもしれない、などとおもったりもする。男の子のくせに。ある日の帰り道、ぬいぐるみショップではしゃぐ男の子を目にして、瞬間、そんな考えがよぎった自分を、ひどくおぞましいとかんじた経験がある。やさしいだけでは世界を救えないかもしれないし、ましてや誰も傷つけずに生きていくことなどできない。それでも、ぼくはやさしくありたいとおもうし、⇒

2020/04/24

absinthe

ギャグで書いてるのか?と一時疑ったぐらい極端に、繊細過ぎる人々を描いた短編集。これは繊細過ぎて、どやし付けたくなるがそんなことをしたらどこかへ吹っ飛んでしまいそうだ。傷つけることを嫌い、付き合いを避け、人でないものに話しかける。村田沙耶香さんみたいな作品でもある。気に入ったのは『たのしいことに水と気づく』と『だいじょうぶのあいさつ』。『たのしい…』は、ラストがほんのりあたたかく、『だいじょうぶ…』は絶壁の上に立つ家に住む微妙な家族の話。

2020/10/09

寂しがり屋の狼さん

私も『ぬいぐるみ』に話しかける事があるので、タイトルにひかれて手に取りました(*^^*)主人公は他人の気持ちを気にし過ぎな感じはしましたが🍀共感できるところもあったかな(*^.^*)

2020/06/13

よつば🍀

「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」「たのしいことに水と気づく」「バスタオルの映像」「だいじょうぶのあいさつ」4話収録の短編集。恋愛を楽しんでみたい、誰かと繋がっていたい、だけどその前に立ちはだかる『男らしさ』『女らしさ』の壁。自分が発する言葉で誰かを傷つけてしまうんじゃないかという不安。SNSに溢れるたくさんの誹謗中傷に心が壊れそうになる日々。生き辛さを抱えて、一日一日をしんどく過ごす登場人物達に共感し、読みながら胸が締め付けられる。目にしたくない物にフィルターが掛かって見えにくい世界になれば良いのに。

2020/05/22

やっさん

★★★☆ 繊細で傷つきやすい人は「メンタル弱いダメなやつ」と括られがちだけど、それを自覚して落とし所を決めているなら立派な長所になりえると思う。繊細な人にしか気付けないものは多い。優しさは武器にも防具にもなる。

2023/04/28

感想・レビューをもっと見る