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サエズリ図書館のワルツさん1 (創元推理文庫)

サエズリ図書館のワルツさん1 (創元推理文庫)

サエズリ図書館のワルツさん1 (創元推理文庫)

作家
紅玉いづき
出版社
東京創元社
発売日
2023-05-31
ISBN
9784488489120
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サエズリ図書館のワルツさん1 (創元推理文庫) / 感想・レビュー

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シナモン

電子書籍が普及し、紙の本が貴重な文化財となった近未来、本は標本のようにケースのなかに入れられ、手袋をした教師がうやうやしく扱うものになっていた。そんな時代に存在した私設図書館「サエズリ図書館」を舞台に繰り広げられる物語。「データは魂」でも「魂だけじゃ、抱きしめられませんから」の言葉にやられました🥲あたり前のように紙の本を読んでるけど、もしかして私は今、ものすごく貴重な経験をしてるのかも。本を読むことが一層好きになる一冊でした。

2023/06/06

芳樹

戦争によって世界が壊滅的なダメージを受けた近未来。電子化が進み紙の「本」が貴重な文化財となった時代で、本を無料で貸し出す「サエズリ図書館」の“特別保護司書官”のワルツさんと事情を抱えた利用者たちがふれ合う連作短編集。本を読んだことがないもの、本を愛するもの、憎むもの、嫌いなもの。そんな彼ら彼女らが「本」を手にすることで違う自分と出会う。やはり本はひとのあり方に大きく影響すると言えるでしょう。電子書籍も便利ですが、自分はやはり形のある「本」が好き。そのことに改めて気付かされた作品でした。第2巻も楽しみです。

2023/07/07

泰然

近未来のある地方。社会変動で都市部は荒廃、紙の書籍が貴重品になった時代で、読者の心の内側を寓意で静かに癒やす短編集。ポップなキャラ作品を想像させるタイトルとは真逆に、次第に説明展開されていくカタストロフィ後の悲喜こもごもな世界で、紙の本と人間の関係を優しさや温かさ痛々しさを交えて描く。もし、紙の書籍の価値が貴重になったとき、わたしたちと本の関係は変わるのだろうか?飲んで、食べて、寝るような生活の一部にはもう戻らないかもしれない。しかし著者は紙本のある人生の不滅をSFファンタジックに諭しては、静かに微笑む。

2023/07/08

れっつ

タイトルや装画からは、もっとほのぼのと明るいイメージを抱いていたが、生活も教育も全てがほぼ電子化された世の中で、貴重で高価な過去の遺物となった紙の本を貸し出す近未来の私設図書館が舞台のこの話は、何だか切ない気持ちと、実社会でもいずれこれと似た現実になるような、ちょっとそら恐ろしいような気持ちもした。 便利、効率化の過程で、取り残され失われていくものは、人間らしい感覚を体感出来る価値がある。一方で、いつまでも過去にこだわる向きは現社会で生きづらい。その間で人を繋ぐワルツさんの存在が、何が大切か教えてくれる。

2023/05/31

よっち

本は電子書籍が当たり前になって、紙の本が高価で入手困難になった世界。紙の本を蔵書するサエズリ図書館と特別探索司書ワルツさん、図書館を訪れた人たちと本を巡る物語。本と無縁の生活を送っていた会社員、娘との距離を感じる図書館常連の小学校教師、本を愛した祖父との思い出に縛られる青年たち。この世界は戦争でいろいろなものが失われていますが、それでも変わらず本に対する想いと信念を持っているワルツさんだからこそ、本や図書館を守っていけるのだと思いますし、こういう人と知り合えたらみんなきっと本を好きになることができますね。

2023/05/30

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