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サエズリ図書館のワルツさん2 (創元推理文庫)

サエズリ図書館のワルツさん2 (創元推理文庫)

サエズリ図書館のワルツさん2 (創元推理文庫)

作家
紅玉いづき
出版社
東京創元社
発売日
2023-06-30
ISBN
9784488489137
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サエズリ図書館のワルツさん2 (創元推理文庫) / 感想・レビュー

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ぶんこ

紙の本が貴重な時代の私設図書館でのあれこれ。今回は特に不穏な展開があって色々と心塞ぎました。たまに電子書籍を読みますが、違和感が抜けずに読み難い。やっぱり紙の本がいい。それでも紙を作る資源の問題、経年劣化、火災等々の問題があるのは確か。電子書籍化を強要する数百のメールから、遂に刃傷沙汰もあってドキドキ。大きすぎる遺産の維持に改めて気付かされた思い。殺伐とした中にも、図書修復士となった千鳥さん、本当に良かった。犬のポルカとワルツさんが仲良くなってきたのも嬉しい変化でした。これで完結というのが淋しい。

2023/09/05

泰然

背負えない心の荷物と紙の本を負う生き方が、先端技術の進んでいるカタストロフィ後の世界にあるとしたら。ワルツさんの一途な紙の本への支配欲寸前な愛と優しさは重たいオンナな面もあるが私立図書館の愛され痴書キャラにすることで、就職の道を与え、漠然とした悲しさや寂しさを癒やす紙の本の物語集をイキイキとさせる。残念ながら、わたしたちはこの世で患難がある。諸々のものがデータになっては感情の行き先も見失う。しかし元気を出して、とヒトと患難を共にする紙の本は誰かを待ち続ける。サエズリ図書館を心の中のアレキサンドリアとして。

2023/07/15

よっち

就職活動に全敗し、希望していた専門職の試験にも体調不良で棄権したチドリさん。自信を失った彼女は、偶然出会った老図書修復家の鮮やかな職人技に魅せられる第二弾。ワルツ図書館でボランティアとして働き始め、図書修復家を目指すチドリさんが直面する紙の本が稀少化した現実。電子図書館司書との対立も描かれつつ、時折登場するかつての登場人物たちもこの物語を紡いでゆく上で欠かせない存在になっていて、悩んでいた千鳥さんもこれからの道が定まって良かったなあと思いましたが、個人的にはサトミさんの短編に全部持っていかれました(苦笑)

2023/06/29

Roko

文庫化に当たって、単行本に収められた内容に2篇(第五話と第六話)が追加されています。 この図書館で働く人たちは、それぞれの人生がこれからどうなっていくかはわからないけれど、この図書館で過ごす時間が貴重なものだと感じながら生きています。 この図書館が、いつまでもこの町で生き続けていきますように。

2023/07/11

yosa

創元推理文庫になってとてもしっくりした気がします。書き加えられた新たなるエピソードは物語の隙間を埋めて全体の完成度を高めているのと同時に、ワルツさんというキャラクターの紅玉ヒロインとしての純度や硬度、苛烈さを高めていてファンとしても嬉しい増補です。ミステリとしては軽めで可愛らしいものではあってもそこにある気丈さや傲慢さ、気高さは、それが例え読み手を選ぶ理由になってしまっているのだとしても選ぶ人や届く人には間違いなく心に残る物語にしてしまいます。そしてこういう本はあのベージュの背表紙がとても似合うのですよ。

2023/09/13

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