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さらさら流る

さらさら流る

さらさら流る

作家
柚木麻子
出版社
双葉社
発売日
2017-08-17
ISBN
9784575240528
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さらさら流る / 感想・レビュー

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starbro

柚木麻子は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。旬のリベンジ(流出)ポルノを題材に著者の描く現代女性の微妙な心模様、デリケートな内容だけに本作もさらさらとは流れませんでした。気軽?に写真や動画を撮影せ(し)、故意もしくは不注意で流出される状況は怖いものですね。因みに私は、こうした写真も動画も撮影したことがありません。校閲者か著者のいずれかの責任か解りませんが、暗渠を辿るのは『タモリ倶楽部』みたいではなく『ブラタモリ』みたいだと思います。

2017/09/09

風眠

恋心というものは、時におかしな精神状態に転がる事もある。愛されてる自信がなくて、それでも繋ぎ止めたくて、もう戻れない一線を越えてしまう事もあると思う。切羽詰まって追い詰められた状態であったなら、求められるままに差し出してしまうかもしれない。菫のことを「軽はずみだ」と非難する事は簡単だ。けれどこれは、私の身にも起こるかもしれない過ちなのだ。自分の優越を満たすため、写真を他人に見せびらかした光晴。そして光晴のスマホを勝手に操作し、写真を流出させた他人。気軽にネットに上げてしまう罪悪感の無さが怖い。許せない。

2017/11/28

ウッディ

新歓コンパで終電を逃した菫は、同級生の光晴に誘われ、渋谷から自宅まで暗渠(地下に埋設したり蓋をした水路・川)を辿る夜中の散歩を共にし恋人になる。愛ある家庭に育った菫は、複雑な家庭の光晴の屈折を理解できず別れるが、ある日、ネットの中で光晴に撮らせた自分の裸画像を見つける。真夜中の散歩という冒険を共有し、恋に変化する菫の心が瑞々しく描かれた物語と思いきや、突然のリベンジポルノ。暗渠のように、何処に流れ着くのかわからない話で頁をめくる手を止まらなかった。スマホ時代に写真館で撮影するシーンの特別感が印象的でした。

2018/07/10

のり

「菫」は以前、元カレに裸の写真を携帯で撮られた事があった。直ぐに消去したはずだったが、ネットにアップされているのを偶然発見。不特定多数の人達にみられた衝撃と言ったら想像を絶するだろう。温かい家族と親友に助けられ、徐々に前を向いて生きていく決意を新たにする。元カレの性格、飲み方は決して同調出来ない。別れたからといって、他人に見せるのは論外。自分勝手で、生の「菫」を思いやれない、想像力に欠ける浅はか者だ。実際に撮ったり、撮られたりは、趣向、思い出のつもりかも知れないが危険が伴う。

2017/11/17

きさらぎ

終始怒りを感じながら読んだ。自分の欲望のために恋人の裸の写真を撮る男に。撮ったあとすぐに後悔し消してと頼んだのに消した振りをして画像を残していた男に。信頼して相談したら何故そんな写真を撮らせたのかと詰問した女に。全てを自分の境遇のせいにする男に。事の重大さを感じない男に。悪いのは、恋人のために勇気をだし震えるような気持ちで撮った写真をコレクションの一つのように扱い、アップした男たちで、被害者である彼女ではないはず。ペディキュアをしメイクをし通勤できていること=もう何ともないではないことに気づいてほしい。

2018/03/09

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