跡取り問題に揺れる盛り場・お江戸両国。姫様人形と人形遣いが、その陰謀に挑む!『あしたの華姫』畠中恵インタビュー
「月草が無事にヘタレを続けられて、ようございました(笑)」 そんな畠中さんの小気味良い口上と共に、人形遣い・月草と、愛想は良いが滅法口の悪い姫様人形・お華の名コンビが帰ってきた!
畠中恵 はたけなか・めぐみ●1959年、高知県生まれ。2001年、『しゃばけ』で、第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。同シリーズで第1回吉川英治文庫賞受賞。著作に「まんまこと」シリーズ、「つくもがみ」シリーズ、『まことの華姫』『こころげそう』『うずら大名』『わが殿』『猫君』など著書多数。
「と言っても、お華の言葉は月草が喋っているから、そんなにヘタレじゃないとは思うんですけどねぇ」
気弱で影の薄い月草は、江戸一番の盛り場・両国の見世物小屋で、木偶の姫様人形・お華を相方に話芸を繰り広げ、おおいに客を楽しませている。だが客の目当てはお華に会いにくること。真実を語ると言われた〝真の井戸〟の不思議な水から出来た目を持つお華は、〝まことを語る〟と噂されているからだ。やむにやまれぬ思いを抱えた人々がその語りに耳を澄ませた『まことの華姫』…