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不知火判事の比類なき被告人質問

不知火判事の比類なき被告人質問

不知火判事の比類なき被告人質問

作家
矢樹純
出版社
双葉社
発売日
2022-10-20
ISBN
9784575245714
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「不知火判事の比類なき被告人質問」のおすすめレビュー

「娘が母親を絞殺」した事件の裁判で、“不知火判事”の他に類を見ない被告人質問で法廷の景色が一変! シリーズ化熱望の新感覚ミステリー

『不知火判事の比類なき被告人質問』(矢樹純/双葉社)

 導入当時こそ市民への負担が騒がれた「裁判員制度」だが、いつのまにか定着してきた。とはいえ、いざ裁判員になってみない限り、実は裁判の実際の流れというのはあまり知られていないのではないだろうか(ドラマでも大抵、山場だけがピックアップされるし)。このほど登場した新感覚ミステリー『不知火判事の比類なき被告人質問』(矢樹純/双葉社)は、そんな一般には馴染みの薄い「法廷」こそが「現場」となる。あとは量刑を決定するだけ…のはずの法廷で「何か」が起こる連作短編は、漫画原作者から作家となった著者ならではのあざやかな手法で読ませる上に、裁判の基礎知識までわかってしまうというお得(!?)な一冊だ。

 フリーライターの湯川和花は、ある日、先輩のピンチヒッターである裁判をレポートすることになった。「中学時代から不登校でニートだった娘が母親を絞殺」というその事件に、被告が自分と同年代だったことで興味を持っていた和花だが、裁判の細かい流れには驚きと退屈を行ったり来たり…そんな中で衝撃的な人物が登場する。左陪席(裁判長の左手側…

2022/10/28

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不知火判事の比類なき被告人質問 / 感想・レビュー

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パトラッシュ

裁判を舞台に検察と弁護側の攻防を通じて隠された真実が暴かれるリーガルミステリと、室内を動かず提示された証拠や証言だけで真相を推理する安楽椅子探偵物は水と油の関係だが、中立の立場である判事を主役とすることで巧みに合体させた。鋭い観察力で捜査や事前の証拠調べでも見落とされていた矛盾を発見し、唯一発言できる被告人質問を通じて裁判を鮮やかに逆転させる不知火判事の推理法は『黒後家蜘蛛の会』のヘンリーに通じる。裁判で無能ぶりを暴かれる検事と弁護士に嫌われ、全国を転勤するのも当然か。こんな裁判官こそいてほしいと思える。

2022/12/03

いつでも母さん

ハイ!面白く読みました。判事が主人公って珍しい気がします。これはズバリ、タイトル通りです。連作短編5話。《他に類を見ない》質問をする不知火判事は変わり者のキャラなので、周りはやり辛いでしょう。その自覚が無いのも読み手はニヤリとしてしまいます。もっと読みたくなる感じです。

2022/12/04

しんたろー

法廷ものの連作短編集…フリーライター・和花が様々な裁判を傍聴して記事にする形式で、判事・不知火の被告人質問で真相に辿り着く展開の5編。各話では冒頭で犯行の一部を見せ、和花が事件を調べ、法廷で不知火が「比類なき」推理で謎を解くという構成は安定した創りで読み易い。どの話にもミステリらしい工夫がなされていて、映像が目に浮かぶ描写も巧み。密室の謎解きなど本格ものっぽいテイストの作品もあるのが楽しい。不知火と和花のキャラの書き込みが薄いのが惜しいが、きっと続編で描かれるだろうと期待。やはり、矢樹さんは短編が上手い!

2022/12/09

タイ子

5つの異なった裁判で誰もが出し得なかった推論を見事に証明する判事、不知火判事登場。普通のミステリ小説のように事件が起こり、容疑者は逮捕され被告人となって裁判に臨む。ただ違うのは、裁判の途中で裁判官の被告人質問に入った時、不知火判事の予想外の言葉によって事件の真相がどんでん返しとともに明らかになる。一話目で驚き、2話目から期待でゾクゾク。裁判の傍聴をするのが、WEBメディアの記者・湯川和花。傍聴マニアの2人の男たちの存在も見逃せない。こんな裁判なら傍聴してみたい。これは是非シリーズで読みたい作品だわ。

2022/11/06

とん大西

こりゃあ、キレがあって面白い。法廷モノと言えば、佐方シリーズは検事、御子柴シリーズなら弁護士。常に両者バチバチの論理戦。そんな空気などお構い無しに事件の真相を突き止める法廷の主人公が彼らの一段上に座していた。裁判官・不知火春希。検事と弁護士と証人と被告人。長い長い彼らのやりとりの後に放たれる「比類なき質問」。それは事件の正体を露にし、被告人のやりきれない胸の内をも氷解させる。情念と仕掛けが絡みつく予想外の逆転劇。どの話しも面白く読めましたが、好みは第二章『生きてる理由』。二転三転する真の動機が…絶妙です。

2022/12/31

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