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龍の墓

龍の墓

龍の墓

作家
貫井徳郎
出版社
双葉社
発売日
2023-11-22
ISBN
9784575246957
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「龍の墓」のおすすめレビュー

ミステリーの名手・貫井徳郎によるVRが舞台の新境地。異世界クエスト風ゲームと現実の連続殺人が交錯する贅沢な1冊『龍の墓』

『龍の墓』(貫井徳郎/双葉社)

 貫井徳郎といえば、デビュー作『慟哭』や妻夫木聡主演で映画化された『愚行録』をはじめ、現代が内包している闇を骨太に描く社会派ミステリーで知られる作家。そんな彼が、連続殺人の謎解きに主眼を置いた本格ミステリーを書いた、と聞いただけで驚く人は多いだろう。最新作『龍の墓』(双葉社)の舞台は〈すぐ先の未来〉、2030年代くらいの日本。この時代、スマホは最早必需品ではなくなり、ゴーグルと呼ばれる眼鏡型のツールが主流になっていた。人々は眼鏡型ゴーグルをかけたまま様々な情報にアクセスしたりVR(仮想現実)に接続してゲームや旅行を楽しんでいる。そんな時代に、世界的に大ヒットしたのが、中世ヨーロッパ的世界を舞台にしたVRゲーム《ドラゴンズ・グレイブ》だ。このゲームの中で起きる殺人事件と、現実で起きる殺人事件が交錯するという、これまで読んだことのないミステリーである。

 はじまりは、町田市郊外の山間で発見された身許不明の焼死体。ドラム缶の中で死体を燃やした犯人を、町田署の刑事・保田真萩と警視庁捜査一課の南条のコンビが追うことになる。やがて…

2023/11/28

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新作『龍の墓』で本格ミステリー再挑戦! デビュー30周年を迎えた貫井徳郎インタビュー

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2024年1月号からの転載です。

 貫井徳郎20年ぶりの本格ミステリー挑戦! 奇怪な連続殺人事件を描いた『龍の墓』は構成の妙あり、論理的な謎解きの快感ありと、凝りに凝った長編作品である。

取材・文=杉江松恋 写真=川口宗道

「書き始めたときは、本格になると全く思ってなかったんですよ。普通本格ミステリーって、事前に緻密なプロットを組んでから始めるものなんでしょうけど、僕はそういうタイプの作家じゃない。とりあえず書いてみたら、3分の1くらいのところで『あれ、これ本格なんじゃないの』って気づいて、そこから謎解きとしての骨格を補強していきました。もちろん最後のトリックは決めてあったので、そこに向けて書いていけばよかったんですけど、作中に出てくるゲームの殺人は、あまり綿密に詰めていなかったんです。そっちもちゃんと書かないと、と気持ちを締め直してかかりました。本格ミステリーは、20年前に『被害者は誰?』という本格作家のパット・マガーとアントニー・バークリーのオマージュのような連作短編集を書いたんですが、それ以来だと思いますね」

『…

2023/12/9

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龍の墓 / 感想・レビュー

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starbro

貫井 徳郎は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 著者の新境地でしょうか、近未来VRドラゴンRPG連続殺人譚でした。アイデアは面白いと思いますが、実際のミステリが・・・ https://www.futabasha.co.jp/book/97845752469570000000

2023/12/29

パトラッシュ

見立て殺人は本格ミステリの重要なテーマだが、ついにVRゲームとの組み合わせが登場した。ゲーム内で展開される殺人と重なる事件が現実でも起き、双方の関わりを巡って捜査が進む。この種の作品では「なぜ見立てたのか」が解決の重要なカギとなるが、思いがけない錯誤の急所が鮮やかだ。その意味で合格点だが、共感できる登場人物がいないせいか読後感がすっきりしない。ゲーム廃人と化した元警官は出す必要性を疑うし、おちゃらけた捜査一課の刑事は非現実的にすぎる。犯人の殺人動機もとってつけたようで、小説としての肉付けが今ひとつだった。

2024/01/19

しんたろー

「あれっ?これは貫井さんだよね?」と何回か表紙を見直した新作は、VRが進化した近未来での連続殺人事件を追う本庁刑事・南条&所轄刑事・真萩と元警察官・瀧川の二つの視点で描かれるサスペンスミステリ。VRゲームと現実がリンクしていて、ゲームの謎解きが本格風なのが著者としては珍しい。惚けた味を随所で見せる南条のキャラも著者には珍しく感じた。社会問題的なテーマが根底にあるが、重い作風の物語が多い著者にしてはエンタメに重きを置いていて、若干の物足りなさも...。新機軸と考えれば、南条シリーズを期待できる面白さがある。

2024/02/22

hirokun

星3 近未来におけるウェアラブルツールの進展状況の可能性を実感させてくれた作品ではあったが、貫井さんの小説というと私にとっては社会派小説がすぐ想起されるのだが、今回は違う趣向のようだ。VRゲームと現実の間を行ったり来たりしながらのミステリ作品であるが、ミステリとしては特に素晴らしい作品だとは思わなかった。ゲームを全くしない古代人である私との相性の問題もありそうだが、貫井さんには時代の本質を提示するような社会派小説を期待してしまう。小説家も進化しなければいけないので新しい取り組みをすることは必要だろうが・・

2023/12/30

ムーミン

ちょっとだけ未来をイメージしながら読みました。ゴーグルをかけている人が普通にいる世の中は‥‥

2024/02/09

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