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しねるくすり

しねるくすり

しねるくすり

作家
平沼 正樹
ダイスケリチャード
出版社
産業編集センター
発売日
2019-10-16
ISBN
9784863112407
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「しねるくすり」のおすすめレビュー

読者の先入観を利用した騙しの文体に翻弄され、気づけば著者の手の内に落ちている――「暮らしの小説大賞」第6回受賞作『しねるくすり』

『しねるくすり』(平沼正樹/産業編集センター)

「現実って、なかなか大変じゃないですか。物語に浸って現実を忘れることが私には大事なんです。もっと小説をちょうだい」と、応援大使の光浦靖子さんも期待を寄せる「暮らしの小説大賞」。この度、第6回受賞作が刊行された。タイトルは『しねるくすり』(平沼正樹/産業編集センター)。薬学にまつわるミステリーだが、読んだあと不思議と生きる希望がほのかにみえてくる大学生の青春小説でもある。

 大学生、といっても薬科大学の3年生である主人公・数納薫はすでに三十路をこえている。冒頭、同じ大学に通う芹澤ノエルと小料理屋でふぐ料理を堪能する場面が描かれるのだが、「大学生が二人でふぐってのもなかなかオツやろ」と言う芹澤に隣のカップルがぎょっとする、という描写は、年齢が明かされる前と後ではその意味合いが変わる。ノエルという名前にたいてい芹澤を女性だと思わされるが、その物言いにだんだん違和感を覚えたころに男性と明かされ、自分たちの思い込みにはっとさせられる。読者の先入観を利用した騙しの文章の数々に翻弄されるうち、読者は気づけば、著者の…

2019/10/16

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しねるくすり / 感想・レビュー

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Kazitu

「いつでも死ねると思ったら、生きていくのがラクになった」と笑った親友は、薬を飲んで自殺した。 薬科大学での青春ミステリー。 重い話ではあったけど、わかるようなわからないような。私もお守りみたいな1錠はほしい。でも市販薬では、しなないよ。😅薬についての蘊蓄は、勉強になった。

2023/05/30

☆よいこ

青春小説。薬学部の学生が「死ねる薬」を作って配る話。死を運ぶセリーヌの正体は誰か?死ぬ権利を得たら、人は幸せになれるのか?▽薬の成分や効能について触れる記述があるが、マニアックではないので読みやすい。▽明るい話ではなかった、ドラマぽい

2020/10/18

kou

1粒で眠るように死ぬ事ができる薬・・・人は自分が死ぬタイミングを、自分で決められるようになると、実際、前向きになれたり、生きる活力が沸いてくるものなのだろうか?イロイロ考えさせられるテーマだと思う。読むタイミングによって感想が変わりそうな一冊だった。

2020/01/12

夜長月🌙@5/19文学フリマQ38

安楽死ができる「くすり」があればいいと思いますか?主成分は「死」。副作用「生きる力」。いつでも死ねる安心を得て、生きる力を獲得する人も出てきます。本当にそんなことがあるのでしょうか。

2020/12/21

Ikutan

一人の男子薬学生が突然自殺し、その後不可解な自殺者が相次ぐ。その頃、たった一錠で痛みも苦しみもなく死ねる薬があるとSNSで噂が。彼の自殺と噂の薬の真相は..薬学青春ミステリということで、薬学の知識がてんこ盛り。脳内物質や睡眠メカニズム、薬の作用機序に相互作用、更にはオプジーボ問題まで、上手く絡めているなぁと感心。死生観など哲学的なところもあるけれど、ベースは青春小説なので読みやすい。恋愛に関しては、男性作家さんらしいなぁと思うところも。あなたの命が誰かの希望になっている。色々考えさせられる一冊でした。

2019/11/20

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