10月14日は「鉄道の日」! 散達流「鉄道の楽しみ方」、教えます!――『散歩の達人』編集長コラム

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公開日:2019/9/21

『散歩の達人』10月号(交通新聞社)

 こんにちは。月刊『散歩の達人』編集長の土屋です。

 10月号の大特集は「LOVE鉄道! 首都圏版」。10月14日は「鉄道の日」。それに合わせた散歩の達人初の鉄道特集です。

 ここ数年で、東武鉄道「リバティ」、小田急ロマンスカーGSE、西武鉄道Laviewをはじめ、新型特急が続々登場。さらに今年11月末にJRと直通運転を予定している相模鉄道にも紺色のカッコいい新型車両が登場するなど、東京五輪の2020年を前に、首都圏の鉄道が華やいでいます。そこで首都圏の鉄道の面白さを再発見できる特集をお届けします。

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小田急ロマンスカーGSE取材時には展望車に乗車。前面ガラスはVSEよりも水平方向に広い視野を実現しているとか。

 特集タイトルを見て、「私はそれほど……」なんて思わないでください。例えば表紙には首都圏にここ数年で登場した新型列車の前面写真を並べました。こんな列車が都心から近い場所で見られるなんて、ちょっとワクワクしませんか? そのワクワク感こそ鉄道好きへの第一歩。鉄道好きといっても、好きの範囲や度合いは様々。今特集では、いろんな方の鉄道愛や東京周辺でこそ楽しめる様々な鉄道の魅力を、編集部&スタッフで探し求めました。かつて鉄道好きだった人、これから鉄道趣味を嗜みたい人にもおすすめしたい企画満載です!

 今回のコラムでは、誌面で紹介している中でも、特に散歩の達人らしい鉄道の楽しみ方を2つ紹介しましょう。まず一つ目は「夜景電車」。首都圏からちょっと離れるのですが、静岡県富士市のJR東海道本線・吉原駅から出ている岳南電車のイベント列車です。本誌で何度も紹介している「闇歩き」に鉄道をプラスした楽しみ方ができるのです。

 夜景電車とは2両編成の1両を消灯して走るイベント列車で、月に2回、土曜の夜に2往復運行されます。しかも全車自由席(予約不要)。元々は製紙工場地帯だった沿線の工場夜景を見やすくするために考え出されたイベント列車ですが、それが定期的に運行され、今年で5年目になります。

 この夜景電車、ただ1両の車内の電気を消しているだけなのですが、これが面白い。消灯した途端に非日常の世界になります。闇歩きでもそうですが、闇の中では五感が研ぎ澄まされます。真っ暗な車内から見る夜の街や工場はそれだけでワクワクしますが、岳南電車の沿線はそれほど光も多くないので、その闇の多い夜景を眺めながら電車に揺られる感覚が楽しいのです。さらに夜景電車は窓が開け放たれているので、窓から入る風や音や匂いに敏感になります。沿線にはコーヒー工場や打鐘式踏切警報機(電子音ではない、カンカンと鳴る警報機)があり、その工場の匂いや踏切警報機の音を感じるのは夜景電車ならではの魅力です。

吉原駅にて。夜景電車はかつて井の頭線を走った車両が改造されて使われている。
吉原駅から岳南江尾駅までは非常灯だけともるが、岳南江尾駅からの復路は完全消灯。完全消灯の様子は誌面をご覧あれ。

 そして、吉原駅、岳南江尾駅の両終着駅からはナイトウォークも楽しめます。誌面では駅周辺のナイトウォークにぴったりのスポットをいくつか紹介しているので、時間が許す限り楽しんでほしいと思います。誌面では吉原駅改札内に臨時出店している『あにぱんや』を紹介していますが、『あにぱんや』の実店舗は吉原駅南側にあります。その店前にはパンの自動販売機もありますので、ナイトウォークで小腹が減ったときにぜひどうぞ。

『あにぱんや』店前にあるパンの自動販売機。歩き疲れた体にしみわたるおいしさ。

 二つ目は「都電の貸し切り」。誰もが一度は乗ったことがある都電も、比較的リーズナブルに貸し切れるというのはあまり知られていないのでは? 今回、鉄道特集に合わせて、編集部全員で都電を貸し切ってみました。しかも都電でもレトロな風情の9000形。詳しくは誌面をご覧いただきたいですが、この貸し切りの優越感はなかなか。三ノ輪橋~早稲田の約1時間があっという間に感じるほどでした。途中下車、途中乗車不可で、車内では飲食が禁止されていてできなかったのですが、担当編集Mが車掌役になり、車窓風景を案内してくれたほか、鉄道クイズで盛り上げてくれました。鉄道クイズは散歩の達人ツイッターでも出題しますので、ぜひご覧ください。

貸切車両の都電9000形が三ノ輪橋駅にやってきた。「貸切車」と表示される。
自分たちのためにレトロな車両が走ってくれていると思うと、なんともいえない優越感。

 さて、大特集では、ほかにも首都圏の鉄道にまつわる企画がずらり。新型特急の中でも特に人気の「小田急ロマンスカーGSE」「西武鉄道Laview」に乗っての箱根や秩父の列車旅案内。また、シンガーソングライターの土屋礼央さんや俳優の半田健人さんらによる「私は鉄道のここが好き」や知る人ぞ知る「貨物ターミナル」の図解、フォトジェニックな「車両基地」の案内、首都圏名駅舎紹介などなど、盛りだくさんです。

 そして第2特集「葛西&西葛西でナマステさんぽ」では、約4600人のインド人が暮らす都内有数の特筆すべき密集地域のグルメ・カルチャーなどを詳しく紹介。

 秋も深まり、歩きやすくなるこれからの季節。10月12日(土)・13日(日)には2日間で10万人が集まるという全国最大規模の鉄道イベント「鉄道フェスティバル」が日比谷公園で行われます(交通新聞社も出店!)。この機会に、ぜひ「鉄道」をもっと楽しんでみませんか? そしてそんな情報が満載の本誌を、どうぞ一度、手に取ってみてください。

土屋広道(つちやひろみち)
1972年生まれ。関西学院大学社会学部卒業後の1996年に株式会社弘済出版社に入社(合併を経て2001年に株式会社交通新聞社)。『鉄道ダイヤ情報』『旅の手帖』編集部を経て、2008年より『散歩の達人』編集部所属。2017年11月号より同誌編集長。

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