「猫が液体である証拠」を示す教養本や、猫パンデミックマンガまで。ごろごろ転がって読みたい猫好きに捧げたい“猫”書籍5選

文芸・カルチャー

更新日:2024/2/22

「猫」――それは我々人類をことごとく骨抜きにする罪深き存在。愛猫家のなかには猫をなでるだけにとどまらず、“猫吸い”なる行為によってその魅力を味わい尽くす人もいる。しかしそれでも「まだまだ足りない!」という人には、ぜひ“猫”書籍を手に取ってみてほしい。漫画や小説などであれば、室内でも外出先でも場所を問わず“猫様”を堪能できるはずだ。

 そこで、猫好きに捧げたいおすすめ書籍をご紹介。漫画や小説はもちろん絵本からコミックエッセイまで、ありとあらゆる猫書籍をピックアップしてみた。

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●心がほっこりする漫画絵本『夜廻り猫の雑貨店』

夜廻り猫の雑貨店
夜廻り猫の雑貨店』(深谷かほる/ポプラ社)

『夜廻り猫の雑貨店』は、『ハガネの女』や『カンナさーん!』の作者として知られる深谷かほるの漫画絵本。涙の匂いを辿って現れる“夜廻り猫”の遠藤平蔵を描いた8コマ漫画『夜廻り猫』が原作で、2023年4月21日に発売された。

 主人公の平蔵は、グレーの大柄な猫。傷ついて涙を流す者を励ますためにどこからともなくやって来て、日常で忘れかけてしまう優しさや思いやりを届けてくれる。そんな平蔵の夜廻りにはいつも相棒の重郎が同行していたのだが、『夜廻り猫の雑貨店』』ではその重郎がいなくなってしまう。それでもきっと彼が帰ってくると信じて、平蔵が始めたのが雑貨店だった。

 果たして重郎は無事に帰ってくるのか。大人の心にも沁みる優しいストーリーは、猫好きも、そうでない人にもきっと響くはずだ。多くの人が「癒される」「感動した」と太鼓判を押す物語の結末は、ぜひご自身の目で確かめてみてほしい。

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●これできっとあなたも猫マニア!『教養としての猫 思わず人に話したくなる猫知識151』

教養としての猫 思わず人に話したくなる猫知識151
教養としての猫 思わず人に話したくなる猫知識151』(山本宗伸:監修、富田園子:著/西東社)

 猫好きを語るのであれば、最低限の猫知識は身に着けておきたいもの。『教養としての猫 思わず人に話したくなる猫知識151』があれば、たった一冊で151もの知識をインプットすることができる。

 たとえばその内容は祖先の話から始まり、人に飼われるようになった経緯や三毛猫にメスが多い理由、果ては猫が“液体”である証拠や寝姿から明らかにする猫の感情まで、猫好きなら知っておきたい知識が余すところなく収められているのだ。

 ちなみに装丁や中面を彩る猫のイラストは、nananaや樋口モエ、霜田有沙ら人気イラストレーター5名が担当している。224ページのオールカラーブックは、パラパラと眺めているだけで癒やされること間違いなし。かわいらしい猫のイラストを楽しみながら、猫知識を身に着けよう。

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●猫と出勤できる夢空間がエッセイに!『ようこそ!しまや出版癒し課へ』

ようこそ!しまや出版癒し課へ
ようこそ!しまや出版癒し課へ(しまや出版:写真、にごたろ:漫画/KADOKAWA)

 猫好きにはたまらない職場――それが、しまや出版だ。東京・足立区にある印刷会社「しまや出版」には、人間の社員以外に猫社員(社猫)が在籍している。“癒し課”の社猫は、日々社員を癒すために一生懸命ゴロゴロ、スヤスヤ、パクパク……と、癒し業務に邁進。その日常や猫たちの歴史、秘蔵写真などが『ようこそ! しまや出版癒し課へ』に収められている。

 しまや出版で働く猫たちは、ほとんどが保護猫。会社の向かいにあったあばら屋にノラネコが住み始め、次第にしまや出版へ遊びに来るようになったことがきっかけだったという。

 社猫たちはみな個性豊かで、ツンデレな初代主任の「とら」や甘えん坊ビームを打ちまくる「タンタン」、真っ白な毛並みで人々を魅了する「ユキ」、しまや出版初のテレワーク猫となった「きなり」など、プロフィールを読むだけで心が満たされるはず。自由気ままに“癒し課”の職務を全うする猫たちをぜひチェックしてほしい。

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●衝撃のキャットフルホラー『ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット』

ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット
ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット』1巻(ホークマン:原作、メカルーツ:作画/マッグガーデン)

 感染の恐怖を描くパンデミック作品は、人によって好き嫌いが分かれるもの。しかしそれが人間を猫に変異させるウイルスだったら話は変わってくるかもしれない。

ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット』』は、突如発生した“猫災害”により、人類が滅亡の危機に立たされる衝撃のキャットフルホラー。ホラーといっても、迫りくるのはすべてかわいらしい猫である。あっちにも猫、こっちにも猫、主人公たちが向かう場所にはいつも猫、猫、猫、猫、猫だらけ……。

 猫にモフられた(触られた)ら最後、その人はたちまち猫に変わってしまう。だが、いくら恐怖に陥れられようとも、人類は猫に引き金を引くことができない。猫を傷つけるくらいなら自分が死んだほうがマシだ。…と、国がはなから勝負を捨てた結果、ライフラインは停止し、経済も崩壊。残されたわずかな人間は、「野良」として生きることを余儀なくされた。

 パンデミックものでありながら、絶対に猫を傷つけない激しい(?)バトルが繰り広げられる『ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット』。果たして猫に支配された世界で、人類は生き残ることができるのか――!?

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●7人の作家たちが綴る小説アンソロジー『猫はわかっている』

猫はわかっている
猫はわかっている』(文藝春秋)

 猫を題材にした小説は数多く存在する。ゆえにどれから読めばいいのかわからないという人は、人気作家たちが猫への愛をこめて書き下ろした小説アンソロジー『猫はわかっている』を手に取ってみてはいかがだろうか。同書は1粒で2度おいしい…どころか、1冊で7つの物語が楽しめる。

 それぞれの作品を手がけているのは、村山由佳、有栖川有栖、阿部智里、長岡弘樹、カツセマサヒコ、嶋津輝、望月麻衣ら7人の作家たち。どの小説も猫がテーマに据えられており、たとえば『世界を取り戻す』(村山由佳)という作品では、日々時間に追われる雑誌編集者が、余命いくばくもない猫を引き取るところから物語が展開していく。

 他にも野良猫のように複数の名前を持つ女の物語『女か猫か』(有栖川有栖)や、ペットロスに苛まれる家族と1匹の茶トラの絆を描いた『50万の猫と7センチ』(阿部智里)など、味わいがまったく異なる作品が勢揃い。いずれも短編小説なので、ふだん本を読み慣れていない人でもノーストレスで楽しめるはずだ。

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 知れば知るほど猫の魅力は計り知れない。漫画、小説、絵本、コミックエッセイなど、あらゆる書籍から“猫様”を堪能し尽くそう。

文=ハララ書房

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