ホラー作家・岩井志麻子が語るオトコとオンナの“恐怖のツボ”|夏のホラー部第3回

公開日:2015/8/22

――シリーズ3冊目の『現代百物語 生霊』によると、そのLさんは生霊になって現れたそうですね。

岩井:Lちゃんをクビにした後で、ひどい肩こりに悩まされるようになりました。夫がソウルにいいマッサージ師がいるというので、揉んでもらいに行ったんです。その人が「肩のところに何かいるよ」と言いながらぐりぐり押してくれて、かなり痛かったんですけど、翌朝にはすっきり良くなっていたんですよ。帰国後、さっぱりした気分で某社の編集者Yさんに会ったら、「最近、歌舞伎町でLちゃんを見かけましたよ」って言うんです。Lちゃんの肌には真っ赤なじんま疹が浮き出ていて、「岩井さんにごめんなさいと伝えてください」と言ってたという。ひょっとしてわたしに取り憑いていた生霊が、Lちゃんにはね返ってじんま疹を引き起こしたのかなと思いました。となると本当に怖いのは、生霊じゃなく、わたしの体の毒素だなと(笑)。

――色んな意味でスゴい話ですねえ。

岩井:しかもまだ続きがあって、この話をテレビでしたんですよ。すると番組を見ていた近所のマンションに住むホステスさんが、「岩井志麻子がわたしに生霊返しをしたせいで、体中にじんま疹ができた」って激怒していたそうなんです。その人とわたしは一面識もないんですけど。

――一方的にそうだと思いこんでいるんですね!

岩井:何かが気にくわなかったんでしょうね。わたし程度でこんな目に遭うんだから、売れてるタレントさんや女優さんは、どれだけのものを背負っているのか。強くないとやっていられませんよね。

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