第164回芥川賞は宇佐見りん『推し、燃ゆ』、直木賞は西條奈加『心淋し川』に決定!

文芸・カルチャー

更新日:2021/1/20

 第164回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)が発表された。選考会は1月20日(水)、東京・築地の新喜楽で開かれ、「芥川龍之介賞」は宇佐見りんの『推し、燃ゆ』に、「直木三十五賞」は西條奈加の『心淋し川』に決定した。

【第164回芥川賞受賞作品】

『推し、燃ゆ』(宇佐見りん/河出書房新社)

推し、燃ゆ

【あらすじ】
主人公のあかりは高校生。勉強やアルバイトだけでなく、生きる上で必要なあらゆることが「普通に」「ちゃんと」できなくて、唯一頑張ることができるのが、「まざま座」というアイドルグループのメンバー・上野真幸を推すこと。
あかりは、現実の重みに耐えられない。彼女にとって、推しへの情熱を燃やし続け、解釈するブログを書き続け、自分でも頑張れることがあるのだという実感だけが生きる支えなのだ。
それなのに、推しがファンを殴って炎上し、彼女の世界から消えてしまったら…?

【プロフィール】
宇佐見りん(うさみ りん)●1999年静岡県生まれ、神奈川県育ち。現在大学生、21歳。2019年、『かか』で第56回文藝賞受賞、史上最年少で第33回三島賞を受賞。

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【第164回直木賞受賞作品】

『心淋し川』(西條奈加/集英社)

心淋し川

【あらすじ】
「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。青物卸の大隅屋六兵衛は、一つの長屋に不美人な妾を四人も囲っている。その一人、一番年嵩で先行きに不安を覚えていたおりきは、六兵衛が持ち込んだ張方をながめているうち、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして……(「閨仏」)。ほか全六話。生きる喜びと生きる哀しみが織りなす、著者渾身の時代小説。

【プロフィール】
西條奈加(さいじょう なか)●1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2012年『涅槃の雪』で中山義秀文学賞、2015年『まるまるの毬』で吉川英治文学新人賞を受賞。時代小説から現代小説まで幅広く手がける。

■第164回芥川龍之介賞の他の候補作はこの4作品

尾崎世界観(おざき せかいかん)『母影(おもかげ)』(新潮 12月号)

・木崎みつ子(きざき みつこ)『コンジュジ』(すばる 11月号)

・砂川文次(すなかわ ぶんじ)『小隊』(文學界 9月号)

・乗代雄介(のりしろ ゆうすけ)『旅する練習』(群像 12月号)

■第164回直木三十五賞の他の候補作はこの5作品

芦沢央(あしざわ よう)『汚れた手をそこで拭かない』(文藝春秋)
 レビュー紹介を公開中
 ▶平穏な日常が一瞬で崩れ去る恐怖がリアルに迫る…! ミステリの名手、芦沢央の最新短編『汚れた手をそこで拭かない』

・伊与原新(いよはら しん)『八月の銀の雪』(新潮社)

加藤シゲアキ(かとう しげあき)『オルタネート』(新潮社)
 著者・加藤シゲアキのコメントを公開中
 ▶NEWS加藤シゲアキ「自意識まみれが吹っ切れた」最新作『オルタネート』刊行イベントで作家・宇佐見りんとSNSを語る

・坂上泉(さかがみ いずみ)『インビジブル』(文藝春秋)

・長浦京(ながうら きょう)『アンダードッグス』(KADOKAWA)