アンティーク着物と古典をめぐるライトミステリー 『下鴨アンティーク』著者・白川紺子さんインタビュー
『下鴨アンティーク アリスと紫式部』(白川紺子/集英社)
今年1月に集英社から創刊されたライト文芸レーベル「集英社オレンジ文庫」。その第1回ラインナップに登場した『下鴨アンティーク』は、アンティーク着物をめぐるファンタジックなミステリーだ。 著者の白川紺子さんに本作の着想や魅力的なキャラクターたちがどのように生まれたのか、その背景を聞いた。
着物と京都に対する愛着が生んだ物語
舞台は京都の下鴨。高校生ながらにアンティーク着物を愛する鹿乃は、ぐうたらながらもヤリ手の古美術商の兄・良鷹、近所の大学で准教授をしている下宿人の慧と3人で暮らしている。ある日、彼女は亡き祖母から「開けてはいけない」と言われていた土蔵を開けてしまう。すると、蔵の中に保管されていた着物の柄が変わったり、声を出して泣き出したり、奇妙なことが次々と起きて――。『下鴨アンティーク』は、そんな不思議な謎を『不思議の国のアリス』や『源氏物語』などの古典をヒントに解き明かしていくという、ちょっと変わったミステリー作品。このユニークな物語が生まれたきっかけはどんなことだったのだろう。
…