古舘伊知郎、一度は諦めた人生を『終わった人』で見直し。「欲張りで脂ぎった脂性じじいになる」【私の愛読書】
さまざまな分野で活躍する著名人にお気に入りの本を紹介してもらうインタビュー連載「私の愛読書」。今回は、初の実況小説となる『喋り屋いちろう』(集英社)を上梓した古舘伊知郎さん。
古舘さんが挙げた愛読書は、『終わった人』『すぐ死ぬんだから』『今度生まれたら』『老害の人』(すべて講談社文庫)という内館牧子さんの小説シリーズ。“高齢者4部作”とも呼ばれる作品である。
ネガティブなタイトルだけを見れば、“自由な喋り手”として常に注目を集め、まさに現役の古舘さんには当てはまらないように思うが…。果たしてどのように心を動かされたのだろうか。
取材・文=吉田あき 撮影=金澤正平
内館牧子さんの4部作は超ポジティブ
『終わった人』(内館牧子/講談社)
――4部作の第一弾は『終わった人』。この本をいつ頃読まれたのでしょうか。
古舘伊知郎(以下、古舘):ご縁がありまして。『報道ステーション』(テレビ朝日)のキャスターを2016年3月末日をもってやめて、何週間かしてから、映画を観に行ったんです。それが、内館牧子さん原作の『終わった人』でした。『終わった人』って…。僕は『報…