この春は、墓へ行こう! 斬新な「骸骨巡り」旅行はいかが?
『骸骨考 イタリア・ポルトガル・フランスを歩く』(養老孟司/新潮社)
どこか旅行に行こう。そう考えたり、言われたりしたら「墓に行こう」という選択肢を加えてみたくなる一冊、『骸骨考 イタリア・ポルトガル・フランスを歩く』(養老孟司/新潮社)は、『バカの壁』の著者として有名な解剖学者・養老孟司がイタリア・ポルトガル・フランスの納骨堂を巡った紀行文です。
解剖学者が骸骨を見に旅した本。さぞかし骨の部位に関して詳細な情報が入っているのかと思いきや、話題はSTAP細胞・朝日新聞の誤報・スマホなど様々な方向に散らばります。もちろんこれらは脱線ではなく、著者は旅中に見聞きしたことを一貫して現代人の身体感覚や思考に関連付けていきます。
「墓巡りの旅なんてつまらなそう」と思った方も、ピラミッド(王墓ではないという説もありますが)やタージ・マハルなど、世界で最も有名な観光スポットが墓であることを思ってみれば、旅先で墓を訪れるというのはさほど意外ではないと気づくことができます。会社勤めであればロンドンに行ってカール・マルクスに売上アップを相談するのもいいでしょう。ミュ…