現役AV女優・紗倉まなの処女作『最低。』がついにコミック化! 親バレしたAV女優・彩乃が見つけた、本当の理解者とは……

アニメ・マンガ

2017/12/11

『最低。』(紺條夏生、紗倉まな/双葉社)

 現役のAV女優として活躍する一方で、小説家としての顔も持つ紗倉まな。これまでに『最低。』『凹凸』(いずれもKADOKAWA)と2本の作品を発表し、処女作である『最低。』は実写映画化もされ、11月25日より公開されている。そんな紗倉の『最低。』が、マンガ家・紺條夏生によってコミカライズされ、11月22日に双葉社より単行本が発売された。

 本作の主人公となるのは、SNSを介して知り合った男にスカウトされAV業界へと足を踏み入れた少女・彩乃だ。彼女の根底にあるのは、「疎外感」。容姿端麗な母親や兄、姉に抱いていた劣等感は、いつしか彼女のなかで大きく膨らみ、「本当の幸せとは何か」という問いかけへと変貌していく。そして、いざはじめたAV女優という仕事。その特殊な世界で、ようやく彩乃は自分の居場所を見つけていくのだが……。

 紗倉の原作では、彩乃、桃子、美穂、あやこという4人の女性が主人公として描かれている(その内、桃子の章は男性視点だ)。それぞれ、オムニバス形式でAVの世界と向き合っていくさまが綴られており、生への渇望や絶望が行間からにじみ出ていた。しかし、コミック版では、あえて彩乃ひとりの焦点を絞り、彼女の生き様を深く深く追いかけている。

 彼女の人生は、深い絶望感で彩られている。前述の通り、家族への強いコンプレックスが、生きる希望さえも見失わせているのだ。そんな彩乃が、カラダひとつで戦えるAVという世界。そこに生きがいを見出すのも、自然と納得できる。余計な装飾が剥がされ、生まれたままの自分自身を評価してもらえる世界。しがらみでがんじがらめになっていた彩乃にとって、そこは随分と呼吸がしやすい場所だったのではないだろうか。

 しかし、ある時、そんな世界で生きていることが母親と姉にバレてしまう。もちろん、ふたりは大激怒。「騙されているはずだ」と、彩乃の生き方を真っ向から否定するのだ。

 そんな彩乃の救いとなるのが、偶然バーで出会った日比野という男。色眼鏡で見ようとはしない彼に対し、彩乃は恋心を抱くようになる。そして、ラストエピソードで彩乃が発した「私のDVD観たことある?」という問いかけに対する日比野の答えがいい。

「……さぁ どうかな?」

 「DVD出てるの?」でも「何の仕事してるの?」でもなく、すべてをわかったうえでの返答だ。そんな彼のやさしさに触れた時、彩乃は初めて、自らの職業をカミングアウトする。

 本作はAV業界を舞台にした物語だが、ただ過激さを売りにしている作品ではない。根底にあるのは、人と人とのつながりや営みのかけがえなさだろう。彩乃が日比野を見つけたように、誰もが自分にとっての理解者を求めている。そして、それを見つけた時、人は初めて自身を肯定できるようになるのではないだろうか。

 小説、映画、コミックと、その裾野を広げている紗倉の処女作『最低。』。本作を入り口に、その奥深い世界観を堪能してもらいたい。

文=五十嵐 大