つぶやきシローの青空読書 『女生徒』を読んだよ

更新日:2013/12/20

つぶやきマーカー

「この朝のだらだらした感じ、わかる気がするよね」

なんとも例えがたくてなかなか先に進まない、この朝の書き出しがいいのよね。「かくれんぼしてたら見つかって変な感じ」とか、「箱を開けてもまた箱があって、最後はからっぽで肩すかし」とか、やりきれない気持ちっていうのかね。それにしてもこの子、朝起きた瞬間からだらだらと無意味な考え事してるんだよね。

「ロココ料理は、ロコモコとは違うものなんだね」

ロココ料理って、キレイに大皿に盛りつけられた料理って意味なのね。ぼくは小さい頃、ひとりひとりのおかずに憧れてたから、みんなで箸つっついて食べる大皿料理はイヤだったね。お母さんが皿洗うの面倒だからって、フライパンごとドーンと食卓に料理が出されてたのよ。ある意味うちもロココ料理だったんだね。

「不良が着ている学ランの裏の刺繍とは違うんだよね?」

これって、誰かに見せるための刺繍じゃないのよ。オシャレをし始めたときの自己満足と、恥ずかしさの狭間な感じね。ぼくも小4のときにマジックテープの靴からヒモ靴に変えたんだけど、なんか気恥ずかしかったからね。自分のなかで美意識が生まれていくんだけど堂々とはできない、オシャレ変換期特有の照れを表してるよね。

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「こんなに毎日考え詰めてたら、そりゃ一日が長く感じるよね」

誰しもこうやって、「早く大人になりたい」ってもやもやしていた時期あるよね。子供の頃って一日がすごく長く感じるもんね。で、一体いつになったら大人になれるのか途方に暮れちゃうのよ。この思春期には必ずあるモラトリアムな感情、男でもかなり共感できるね。

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「イカと醤油」

愛情表現が不器用な父と、父を誰よりも尊敬し貧しい生活をも明るく楽しく過ごす息子・健太の物語。不足した日常は彼らにとって不幸ではない。しかし、健太が小学校に入学する頃、突然二人の生活に終わりが訪れる。理想な親子とは?つぶやきシローがその問いを投げかける。

僕が思う理想の親子を書いてみました。
こういう父親、こういう息子が今の時代もいてもいいんじゃないかって思います。