財力マウントからの自爆が次世代スタンダード!? 高飛車お嬢様の残念ショートギャグ!『マウントセレブ金田さん』/マンガPOP横丁(75)

マンガ

公開日:2021/9/3

マウントセレブ金田さん
『マウントセレブ金田さん』(ニャロメロン/秋田書店)

 はりまの中での往年のお嬢様マンガで描かれるお嬢様といえば、巻き髪で高飛車で家柄や生活は派手でゴージャスというイメージだ。最近では、高飛車というよりツンデレ系とか、異世界転生して悪役令嬢になっちゃうとかさまざま。正直なところ、私はお嬢様マンガには大変疎い。どちらかと言えばお嬢様ではなく、耳から砂金が出てきたり鼻◯ソが黒真珠だったりの、田園調布に住む財閥の跡取り息子で第999代の当主である小学5年生が主人公の“お坊っちゃんマンガ”ならよく読んでいたし、思い出深い作品だ。

 いわゆる経済的に裕福な家庭の子どもは、素直に羨ましく感じた。先ほどの“お坊っちゃんマンガ”の主人公の毎月のお小遣いが1500万円というのは行き過ぎだけど、小学校高学年のはりまのお小遣いが毎月「学年×100円」だったのに対し、某クラスメイトがその10倍以上をもらっていることを知った時はその人が神に見えた。ちなみにミニ四駆のコースがある広い家だった。しかし、今回紹介する『マウントセレブ金田さん』(ニャロメロン/秋田書店)の主人公である金田持子は、最大の武器である財力があるのにもかかわらず残念なセレブお嬢様なのだ。

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 金田財閥の御令嬢・金田持子は、何事においてもお金でマウントを取りたがる。今日も一般市民に向かって誰にも負けない財力をあらゆる方法で見せつけていた。そんな彼女のマウントの餌食となっちゃう代表は、クラスメイトの女子・薄井幸子と白石くいなの2人。次々と見せつけるその中身は想像のナナメを行くクレイジーっぷり! 気持ちよく高笑いする金田さんに待ち受けているのは……恥ずかしさが最高潮に達するポンコツな結末のオンパレードだった!

 彼女のナナメ上を行くセレブ行動は、第1話から爆発する。それは、薄井さんの美味しそうなお弁当に対抗するものであった。金田さんがそのお弁当を見て「ペットのエサですわね!!」と言い放った後に出てきたのは、光り輝く黄金のお弁当。その正体は……なんと金塊! それを金田さんはどう見せつけるのか。さらにブーストをかける度合いがファンタジーで、金田クオリティは決して裏切らない。こんなエピソードが1話2〜4ページで繰り広げられ、1巻ではそれが42話という大ボリュームでまったく飽きさせません! さすがだなぁ金田さん(金田さん本人は決してそういうふうに見せようとは思ってないが)。

 今回のPOPは、そんな金田さんのセレブ感と、ギャグ漫画として描かれた勢いとポンコツ感を混ぜて表現。なかなかの激動っぷりがこの1枚に収められたかと。最近までは自虐ネタが熱を帯びていたが、これからはイキって“自爆”する時代!……なのかも。

 次第にこの自爆がすごく可愛く愛おしく思えてくる金田さんの今後に目が離せなくなること必至。これ、5分のショートアニメで観たい。関係各所の皆さま、ご検討いただけないだろうか!

マンガPOP横丁

文・手書きPOP=はりまりょう

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