アリスとテレスのまぼろし工場 (角川文庫)
「アリスとテレスのまぼろし工場 (角川文庫)」のおすすめレビュー
恋と変化をテーマにしたファンタジー作品。「あの花」の岡田麿里監督が描く映画『アリスとテレスのまぼろし工場』
『アリスとテレスのまぼろし工場』(岡田麿里/KADOKAWA)
9月から絶賛公開中のアニメ映画『アリスとテレスのまぼろし工場』。主人公の声は榎木淳弥、ヒロインの声は上田麗奈、そして主題歌は中島みゆきの『心音』で圧倒的な世界観をもった作品ですが、監督本人が執筆した同名の小説『アリスとテレスのまぼろし工場』(岡田麿里/KADOKAWA)もまた、没入必至の内容となっています。
あらすじを少しご紹介しましょう。主人公の菊入正宗は中学三年生で、製鉄所の爆発事故により出口が失われて、時が止まった町で日々を過ごしています。ある日、同級生の睦実に導かれて製鉄所の中に入り、言葉を話すことができない野生児のような少女・五実と出会います。この出会いが、世界の均衡を崩していくことになるとは、本人たちも、町の人々も、誰も予想していませんでした……
本作のテーマを2つ挙げるとするならば、「恋」と「変化」だと思います。と、書いてみて気づきましたが、「恋」と「変」は上半分が同じ成り立ちをしています。糸と、取っ手のある刃物の象形で「誓いの糸を引き合う」という意味合いがあるそうです…
2023/10/15
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どうしても描きたかったのは暴力的なまでの生命力でした『アリスとテレスのまぼろし工場』岡田麿里インタビュー
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年9月号からの転載になります。
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』など脚本家として数々の傑作に携わりながら、2018年公開のアニメーション映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』では脚本のみならず初監督も務めた、岡田麿里。
取材・文=吉田大助
アニメーター経験のない脚本家が劇場用長編アニメの監督を務めることは極めて異例だが、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で第5回ニューウェーブアワード(クリエイター部門)を受賞するなど結果を残した。9月15日公開予定の『アリスとテレスのまぼろし工場』は、業界最注目のアニメーションスタジオ・MAPPAとタッグを組んだ、待望の監督第2作だ。 映画公開が待たれるなか、ひと足先に原作小説が刊行された。岡田が自作脚本をもとに小説を執筆するのは、『あの花』以来7年ぶりとなる。実は、小説版『あの花』の下巻刊行時の本誌インタビューの時に、こんなことを語っていた。「小説だからできることって、いっぱいあるんだと気付きました」「次はアニメとは関係なく、新しい話を最初から小説で書…
2023/8/4
全文を読む主題歌は中島みゆきの書き下ろし楽曲に決定! 「あの花」「さよ朝」の岡田麿里監督最新作「アリスとテレスのまぼろし工場」 の原作小説が角川文庫より好評発売中!!
『アリスとテレスのまぼろし工場』(岡田麿里/角川文庫)
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ。」「さよならの朝に約束の花をかざろう」など数々のヒット作で注目を浴びている岡田麿里監督の最新劇場アニメーション「アリスとテレスのまぼろし工場」が、2023年9月15日(金)より全国公開。 本作の主題歌を、歌手・中島みゆきさんが担当することが発表されました。主題歌のタイトルは「心音(しんおん)」に決定! 中島みゆきさんにとって、今回が初めてのアニメ映画の主題歌となります。
<中島みゆきさんコメント全文> ゲームもアニメもさっぱりわからない中島に、御注文を くださるとは、なんでなの?と謎な気持ちで、 届いた台本をおそるおそる読み始め、最後まで読み終わ らないうちに、どっぷり、岡田麿里様のしもべとなっておりました。 岡田麿里様は、中島の絶大なる「推し」です!
スタジオで初めて岡田麿里様にお目にかかった日は、 ただもう中島は物陰から、じぃっとお姿を拝見するばかり。 一瞬だけ駆け寄って「この台本、好きです!」と言うのが 精一杯でした。ま…
2023/7/5
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アリスとテレスのまぼろし工場 (角川文庫) / 感想・レビュー
芳樹
製鉄所の事故により冬のまま時が止まり変化を禁じられた町が舞台の、14歳の少年・正宗を中心としたボーイミーツガール現代ファンタジー。正宗と謎めいた同級生の睦実。そして睦実が引き合わせた狼のような少女・五実の三角関係とも言える「恋」の物語で、感情が大いに揺さぶられました。時が止まるとはどういうことか、五実の存在と「まぼろし工場」とは何なのかが次第に明らかになっていく展開は鳥肌ものでしたね。映画鑑賞後に読んだので、映画で描ききれなかった部分が知れたのが良かった。原作の方が色々と生々しいな。ともあれ、傑作でした。
2023/09/19
よっち
製鉄所の爆発事故により出口を失い、時が止まった町で暮らす中学3年生の正宗。鬱屈した日々を過ごす中、同級生の睦実に導かれて野生の狼のような少女と出会う劇場アニメの原作小説。製鉄所の第五高炉へと足を踏み入れた正宗が出会う、喋ることのできない囚われた少女・五実との出会い。彼女と仲良くなることで皮肉にも始まってゆく世界の均衡の崩壊。この世界に存在する大人たち、子どもたちそれぞれの視点から閉塞した状況を描写しながら、正宗と五実、睦実の関係性を軸に、現実とまぼろしの構図やそれぞれが迎える結末はなかなか良かったですね。
2023/07/05
RASCAL
「あの花」の岡田さんの作品ということで手に取った。映画は未視聴、先に小説を読んでしまった。やはり映像向きのお話なのかな。
2023/10/01
kenitirokikuti
気まぐれに本作に挑むことにした。岡田麿里、アニメの脚本家からアニメ監督ってのはだいぶ珍しいな(岡田の脚本・監督作品、実はあまり見てはいない)。この監督作品のセルフノベライズを先に読んでも、もひとつ全体像が頭に入ってこなかった。神隠しのお話ってのは分かったが。で、これから劇場に入って映画を見るのです。。
2023/09/27
kenitirokikuti
オリジナルであるところの劇場版アニメを見終わった。視聴前感想にて岡田脚本の作品あんまし見てないかもみたいなことを書いてしまったが、DTエイトロンから見てたわ。他、シムーンとかselectorウィクロスとかRED GARDENとか。で、本作ではいつもの重い女を上田麗奈が、そして(あっ、このキャラは久野ちゃんか〜納得…)であった。さすがにノベライズでは上田と久野の声を宿せないので得点が低くなるのは避けられなかった▲『アリスとテレスのまぼろし工場』という児童文学ふうタイトルは意味不明のままだった。
2023/09/27
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