彼らは世界にはなればなれに立っている (角川文庫)
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彼らは世界にはなればなれに立っている (角川文庫) / 感想・レビュー
ソルティ
ディストピアです。読んでてだんだん陰鬱になってくる。羽虫を虐げることで自分を保っていたけれど結局元々の住民も巻き込まれていく。財力、権力ある方が優位で貧富の差にもなる。この世界は現代社会と同じ。そうなる前に声を出して行動して、それを次世代にも伝えて抗うことをし続けなきゃいけなかった。1人で無理でも大勢なら動かせたはず。諦めちゃダメだ、と考えさせられる話。「機械に乗っているのは、なんと人間だった。人間が、男も女も子供も年寄りもひとしなみに焼き殺している。どんな理由があれば、人が人にこんなことができるのか。」
2024/01/11
KAZOO
テレビドラマの「相棒」の脚本などを書かれていてかなり硬派な作品をものにしておられる太田さんが、かなり今までとは異なる感じの作品を書き上げられました。ある意味ディストピア小説(オーウェルの「1984年」やハックスリーの「素晴らしい新世界」を目指したもの)で架空の世界の状況を4人の眼から様々な事件を描いています。今後の日本の方向性をエッセンスだけ取り出して物語化したとしか考えられません。評価は分かれると思いますが私は楽しみました。
2023/09/05
のり
祭りの華やいだ日を境に「始まりの町」は変わっていった。移民に対して「羽虫」と蔑む人々。様々な立場で思惑が異なる。人々は考える事を止めたら、それは滅びの始まりである。独裁者の世襲。疑問にも思わない。世を正そうとする者は志し半ばで消される。全てを理解し、世の中の儚さを抱きながらも、新天地で「魔術師」の安寧を祈る。過去・現在・未来にもある悲劇。断ち切らねばならない。
2024/01/18
ぼっちゃん
どの時代のどこの国の話かも分からなく、ファンタジー的な感じはするが、考えず、声も上げず、流されたままだとこんな世界になってしまうと今の世の中を諷刺した小説であった。
2023/10/14
桜
太田さんの新作(文庫)だ!って喜んで手に取ったのですが、まさかのファンタジー設定でなかなか読み進められなかった(^~^;)ゞ けれど読み終わってみると「これは現代の話だ!」な一冊でした。 「羽虫」と呼ばれて不当な扱いに甘んじる移住者。当たり前のように「羽虫」を虐げる「先住民」。「先住民」の情報を操作して情勢を操る「富裕層」。はなればなれの位置で語ると、こんなに「リアル」なお話になる。 色んな人に読んでもらいたい一冊でした。
2023/08/31
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