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匿名

匿名

匿名

作家
柿原朋哉
出版社
講談社
発売日
2022-08-26
ISBN
9784065278819
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「匿名」のおすすめレビュー

匿名の歌姫は理想の人物か、それとも――。人気YouTuber“ぶんけい”こと柿原朋哉が、匿名時代の痛みを痛烈に描き出す

『匿名』(柿原朋哉/講談社)

「匿名であること」は、ぼくらの社会で非常に身近になった。名前や顔を隠し活動するアーティストが人気を集め、SNS上では正体を伏せて交流する人が多い。相手のことがわからない。それは相手にこちらの希望や理想を投影することを可能にしたとも言える。しかし、本当にそれだけだろうか――。

 そんな匿名時代をテーマにした小説が登場した。タイトルはズバリ『匿名』(講談社)。その書き手は、2人組YouTuber「パオパオチャンネル」として絶大な人気を集めていた“ぶんけい”こと、柿原朋哉さんだ。今年4月にパオパオチャンネルとしての活動を終了した柿原さんは、それ以前から映像作家としても活躍していた。2020年5月には初のエッセイ『腹黒のジレンマ』(KADOKAWA)を上梓するなど、多方面で才能を開花させている。

 そんな柿原さんが書き上げた初の小説『匿名』は、ふたりの視点人物による語りが入れ替わりながら進んでいく。そのひとりは越智友香。都会に馴染めず、渋谷にあるビルの屋上から投身自殺をしようとするほど追い詰められている。しかし、寸前で彼女を救った…

2022/9/9

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「SNSの匿名性が、自分を支えてくれるのかもしれない」──珠川こおり×柿原朋哉/匿名時代の作家対談

 YouTubeチャンネル「パオパオチャンネル」で活躍してきたぶんけいさんが、本名・柿原朋哉名義で小説家デビューを果たした。『匿名』(講談社)は、覆面アーティスト「F」と彼女の歌声に命を救われた25歳の越智友香、ふたりの主人公の内面に分け入る物語。SNS社会を生きる人々の人間関係、ネット空間の匿名性、その虚実の狭間を克明に描いた作品となっている。

 そんな柿原さんが、さまざまな先輩作家と繰り広げる対談企画。ラストを飾るのは、20歳の若手作家・珠川こおりさん。2作目の小説『マーブル』(講談社)を刊行したばかりの珠川さんとともに、SNSとの向き合い方、クリエイターの匿名性について語り合っていただいた。

(取材・文=野本由起 撮影=干川 修)

「小学生の頃から絵本みたいなものを作っていて、高校入学後、長編小説を書き始めました」(珠川) 『マーブル』(珠川こおり/講談社)

柿原朋哉さん(以下、柿原):珠川さんの新刊『マーブル』、読ませていただきました。初めてお会いしますが、小説のイメージどおりですね! すごく優しい空気の小説だったので、きっと優しい雰囲気の…

2022/9/25

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「人は日常的に、人格や見せたい自分を使い分けて生きている」──真下みこと×柿原朋哉/匿名時代の作家対談

 人気YouTuber・ぶんけいさんが、本名・柿原朋哉名義で作家デビューを果たした。『匿名』(講談社)は、覆面アーティスト「F」と彼女の歌声に命を救われた25歳の越智友香、ふたりの主人公が織り成す物語。SNSでファンアカウントを作り、“推し”に近づこうとする友香だったが……。匿名を用いてネットの海をさまよいながらも、自分自身の内面と向き合う若者たちの姿を生々しく描き出している。

 そんな柿原さんと先輩作家による対談企画。今回は『茜さす日に嘘を隠して』(講談社)で、作家やミュージシャンとの共作を果たした真下みことさんが登場。ふたりが語る、匿名時代の生き方とは? 互いの作品に対する感想もお見逃しなく!

(取材・文=野本由起 撮影=干川 修)

「読者に届けたいもの、芯となる部分がある方なんだなと思いました」(真下)

──おふたりは初対面ですよね。お互いの作品や活動に対して、どんな印象を抱いていましたか?

柿原朋哉(以下、柿原):真下さんと僕は、担当編集さんが同じ方なんですよね。僕が本を書き始めるちょっと前に、真下さんのデビュー作『#柚莉愛とかくれんぼ』(講談…

2022/9/22

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匿名 / 感想・レビュー

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ベイマックス

デビュー作と言う先入観からなのか、物語のはじめは入り込めずに読み進んだ。次第に物語の中に入り込んでいた。いじめは受けた側の傷ははかりしれない。ただ、いじめた側にも首謀者と保身者と傍観者という立場の違いがある。傷を抱えたままでいい、解消も解決も無視もなかったことにもしなくていい、今のままの気持ちを抱えていてでも前に進むことの大切さが物語としてあった。歌は聴く者も魅了し歌う者も癒していく。

2024/03/02

よつば🍀

シンプルな文章の中に共感がいくつもあった。渋谷の屋上で命を絶とうとしていた瞬間、五つの街頭ビジョンに映し出されたミュージックビデオから流れて来た歌声。物語は、その歌声に救われた越智友香と、覆面アーティストFの視点で交互に語られる。Fを追う為にTwitterに登録し、推し友を作りオフ会に参加する友香。だが、生きる糧を見つけた彼女を待ち受けていたのは衝撃の事実だった。SNS全盛時代の今、誰もが匿名を使う事で起こりうる最悪の事態。傷ついた心を抱えるFの哀しみに感情移入し、赦せないと言い切る彼女の想いを肯定する。

2022/10/22

そら

母親と地元から逃げるように東京で働く友香。生きづらさから救ってくれたのは覆面アーティストFの歌声だった。友香はFを追いかけるうちに、ある秘密を知ることとなる。友香とFの視点から交互に語られるストーリー。 SNSでのコミュニケーションは現代風。過去は変えられないが、後悔も受け止めどう消化していくか?閉じていたふたりの心が、未来に向かって少しづつ開いていく様子にほっとする。普通に生きるって、とても難しい。

2022/12/22

よっち

生きる希望を見失って渋谷の屋上で命を絶とうとしていた越智友香を救った、覆面アーティストFの歌声。生きる原動力となったFをもっと知りたくなって追いかけ始める物語。覆面アーティストとしてきっかけを得て飛躍し始めたFと、ファンアカウントでFの正体を追う友香。同じFのファンであるアカネと知り合いながら、知りたいという思いで近づいたFの意外な正体。やられた側はそのことを一生忘れることができないんだろうな…と改めて実感しつつ、でも皮肉にも今に繋がるそれにしっかりと向き合い乗り越えてみせたFの覚悟が印象的な物語でした。

2022/10/10

ヒデミン@もも

柿原朋哉さん、初読み。わかってはいたけど若い人向けの作品。2人の主人公の気持ちは痛いほどわかる。が、私はやはり親世代。親を否定する気持ちもわかるが、それで、親が亡くなっても知らないふりできるのか。

2022/10/08

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