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日本文学100年の名作 第8巻 1984-1993 薄情くじら (新潮文庫)

日本文学100年の名作 第8巻 1984-1993 薄情くじら (新潮文庫)

日本文学100年の名作 第8巻 1984-1993 薄情くじら (新潮文庫)

作家
池内紀
松田哲夫
川本三郎
出版社
新潮社
発売日
2015-03-28
ISBN
9784101274393
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ジャンル

日本文学100年の名作 第8巻 1984-1993 薄情くじら (新潮文庫) / 感想・レビュー

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KAZOO

この巻には1984年から93年までに発表された14の短篇が収められています。バブルの萌芽が出てきてそれがはじけ、不況へという時代です。標題になっている田辺聖子さんの「薄情くじら」、宮本輝さんの「力道山の弟」、宮部みゆきさんの「神無月」、北村薫さんの「ものがたり」がわたしには印象に残りました。このシリーズは文字が本当に大きくて年寄りには非常に読みやすくなっています(分厚くはなりますが)。

2015/04/01

booklight

新潮文庫100年を記念して、この100年の有名・無名の名作短編を池内紀・川本三郎・松田哲夫が選出。1984-93年とよく知っている時代なので、良くも悪くも匂いが懐かしい。半分以上知っている作家なのだが、どの短編を読んでも不思議とその作家のテイスト(文体?)になっている。素材の当たりはずれはあるのだろうが、その作家の本質は同じなんだろう。この時代はよく知っているせいか驚きは少ないため、よりテイストが意識された。開高健の焦燥、中島らもの違和感、尾辻克彦のユーモア、深沢七郎のタブー、隆慶一郎のダンディズム。

2024/05/01

メタボン

☆☆☆☆☆秀作揃い。悲惨な状況で子供を失うが性を通して死から生へ転換されるのが鮮やかな「大城立裕・夏草」臨終時のまくらおとしとはそういうことか「深沢七郎・極楽まくらおとし図」貧しい夫婦が住む物件を探す「佐藤泰志・美しい夏」関西人の鯨愛「薄情くじら」柳生兵助が独身の理由「隆慶一郎・慶安御前試合」その目に死の予感を感じる「山田詠美・ひよこの眼」、デマの調査がサイコスリラー的状況に「中島らも・白いメリーさん」もらった鮨を浮浪者に与えるのに逡巡する「阿川弘之・鮨」作話の裏にある義妹の思いは「北村薫・ものがたり」。

2019/07/06

みつ

既読は、北村薫『ものがたり』のみ。いくつかのシリーズものから離れ各独立した短編からなる一冊、『水に眠る』の中でも強烈な読後感を残した。のどかな朝の風景、受験のためにしばしの日々泊まる義妹とのたわいない会話から、彼女が語り出す物語に切迫した想いが伝わる場面への変化が見事。田辺聖子の表題作は、誕生が終戦をはさむ(確か)8歳差の夫婦の、モノに対する「勿体なさ」の食い違いをユーモア混じりの文で綴る。家人に見向きもされない鯨料理を突然の訪問者に振る舞おうとする結びもほろ苦い笑いを誘う。この頃はちり紙交換の車が➡️

2024/03/03

A.T

深沢七郎 1984年の「極楽まくらおとし図」が一押し。本家のリョーさんの孫のカンちゃんがコテンに出品したアブラ絵の「まくらおとし」。親戚一同見る前にさっさと燃やして捨てたその絵はどんな構図だったのか。リョーさんは「まくらおとしで死にてえものだ、養老院などで死ぬのはいやだよ」という。しばしば登場する「まくらおとし」とは?70歳と思しき主人公の「ワシ」が語るヒョーヒョーとした現代版「楢山節考」。

2021/03/18

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