オズマガジン最新号は「楽しい文具と紙のもの」特集! 統括編集長の日常はよりみちのなかにおもしろさ⑥

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更新日:2018/4/11

 ダ・ヴィンチニュースをご覧のみなさま。こんにちは。

 このあいだ年が明けたと思ったら、もう2月も中旬です。中距離のトラック競技のランナーのピッチのように同じようなペースで1週間が繰り返され、気がつくと1ヶ月がたち、こうして今年も着実に日々が過ぎていこうとしています。春はもうすぐ目の前まで来ていますね。

 さて、オズマガジンの最新号は「楽しい文具と紙のもの」特集です。

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 わたしたちは移り気で、現代は刺激に溢れていますから、時代の「気分」を捉えることがほんとうに難しいことになったなあと実感しています(それが仕事ではありますが)。しかもそれは確実に前より難しくなっているし、SNSの普及で、そもそもメインストリームのようなものが以前より生まれにくくなっています。趣味の時代。多様性の時代といってしまえばそれまでですが…。

 最近編集部が感じていたことのひとつとして「文房具、おもしろいかも」ということがありました。それを「気分を捉える」という文脈で語れば、「デジタルへの反動で人がアナログなことを無意識に欲している」という感覚が近いかもしれません。

 なんでもデジタルに変換できるこの時代において、書くとか切るとか貼るといった肉体的な行為を伴うことへの興味に、時代の空気が少しずつ動いていると思ったのです。

 例えばインスタの投稿に、最近「手書き」の文字が写真でアップされているものをよく見かけませんか? そういう時代の「傾向」のようなものを捕らえて、そこに潜むインサイトを見つけること。それが僕たち編集者にとって企画を立てるすべてのスタートになっています。

 そこで、文具です。

 昨年オズマガジン編集部が作った「よりみちノート」という地図つきのノートは、わたしたちが思っている以上に多くの方に買っていただくことができました。昨年末にオズマガジンが出展させていただいた「文具女子博」という文具イベントは、本当に想像を絶する混雑ぶりで、実に来場者の半数近くが一人で来る女子だったそうです。そもそもそのようなイベントが初開催されること自体が、女子にとって文具は顕在化した盛り上がりになったともいえるでしょう。それ以降も、週末ともなれば多くの文具や紙モノのイベントが開催されています。

 最近お会いしたある文具業界の方にうかがった話で、なるほどなあと思ったことがあります。それはある文具会社の朝礼で語られた言葉だったそうです。

「文具の業界も楽ではないけど、文具を生業にするわたしたちはまだ幸せだ。文具は音楽や本のように、デジタルに変換できないのだから」

 それを聞いて、ほんとうにそうだなあと思いました。

 音楽業界はレコード、カセットテープ、CD、MD(あの懐かしきMD)と、消費者にとっての接点がめまぐるしく変わり、いまやダウンロードして聴くことが主流になってしまいました。結果的にそれはCD販売を収益の中心に据えていた音楽業界にとっては劇的なビジネスモデルの変化となってしまいました。

 本の世界も同じです。電子書籍やネット上での読み放題サービスは、もはやスマートフォン時代においては日に日に日常的なものになりつつあります。もちろんそれで読者が広がるという側面もありますので、二元論で語ることは避けたいとは思いますが。

 そういう意味では、ホッチキスに変わるものはないですし、万年筆の書き味を代用できるデジタルツールはありません。文具は嗜好品でありながら、確実に実用品なのです。同時に文具には高額なものが少なく、ちょっとした投資でちょっといい気分を味わえる。その「ちょうどよさ」も、このブームを後押ししているのは間違いないと思います。

 最新号では、文具の紹介という点の情報はもちろんですが、オズマガジンが得意としている「町歩き」の情報と掛け合わせて、「文具さんぽ」ができるように、情報を整理してお届けしています。

 ほしいものをめがけて、狙ったお店に出かけるのももちろんいいのですが、お茶を飲んだり本を読んだり、のんびりよりみちを楽しみながら、文具を買うという休日を楽しんでいただけたらと思います。

 さて、個人的におすすめの「文具さんぽ」エリアは蔵前です。もはや文具好きの聖地とも呼べる「カキモリ」は新店をオープンさせましたし、あのマスキングテープの専門店「mt lab.」も見逃せません。「チェドックザッカストア浅草」でかわいい紙モノを買ったら、「結わえる本店」で腹ごしらえ。それはもういい1日以外のなにものでもないですね。

「東急ハンズ銀座店」と「銀座ロフト」のページも要チェック。文具朝活主宰の高木さんや、文具プランナーであり、ウェブサイト「毎日、文房具。」副編集長の福島さんといった文具界の人気者たちに登場いただいて、たっぷり文具愛を語っていただいています。

 それ以外にも、ここでは書ききれないような大充実の内容ですので、ぜひぜひご覧になってみてください。デジタルマガジンも販売中ですが、ここまでの流れからすれば、今月号は本屋さんで買うのが気分ではないでしょうか?

 そうそう、今月号はいつもの号とは違う「文具特集」ならではの遊び心もあちこちに散りばめられています。例えば通常は本の紙の種類は1種類ですが、今月はいろいろな紙が使われていたり、本に背表紙がついていたり。

 さて、次号3月は毎年恒例の「横浜特集」です。次のこの連載時は、もうきっと春ですね。おたがい風邪などひかないように気をつけながら、機嫌よくいきましょう。

 では、いい1日を。

『オズマガジン』最新号発売中!

OZ magazine 2018年3月号
(スターツ出版)

古川誠(ふるかわまこと)編集長

1998年スターツ出版入社。販売部の営業を4年務めたのち、2002年よりオズマガジン編集部に配属。2008年より編集長に。ほかクルミド出版より小説『りんどう珈琲』を出版。2018年には2作目の小説「ハイツひなげし」をセンジュ出版より刊行予定

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