ブームの夜明けはどこだ!? 電光石火で突っぱしれ!『コロコロコミック』編集長のうんちん日記第11回
公開日:2018/6/21
6月15日発売の7月号の反応を見ようと、会社の机でスマホ片手にボーっとツイッターを眺めていたら、
“小二の息子が突如「コロコロコミックを読みたい」と言ってきた。ついにデビューか! 喜んで買ってあげました”
というなんともうれしい内容のツイートを発見しました。
お母さん、あざーす!
と思うのと同時に、おや、もしや、なんだ、何かあるのか? この子は何故にコロコロを読もうと思うのか? と胸騒ぎがしてきました。
「ブームのはじまりは、恋愛のはじまりに似ている」
とは歴史上誰も言ってませんが、そんな感じがしなくもないかもしれません。
なんのこっちゃ。
そう、かすかな足音に耳を澄まさなくてはいけません。
大きい声では言えませんが、普段会社で机にいるときの9割は、脱力して軽口をたたいているだけです。
一心不乱に校正したり、ネームを書いたり、メールを打ったりしている周りの編集部員に向かって、絶妙のタイミングで(自分で思ってるだけです)、昨日何食べた? 今日何食べる? そもそもお前最近元気なの? 忙しいの? などとマネジメント力0の発言を繰り返すことも、重要な仕事だと思っています。
が、たまには仕事をしなくては!
そう、周りは目の前のことに忙しいのですから、目の前のことにヒマなのは自分だけなんですから!
だから、ちょっとでも胸騒ぎがしたら、喜びを噛み締めつつも、慎重かつ大胆にカンを働かせなければなりません。
“これは何の前ブレなんだろう?”
まさに、編集長の腕の見せ所ですね。
というワケで、今回は現在の私のカンどころをお伝えします。
ハズレてしまったらご愛敬! とはいきません。
何故なら、もうすでに他人ごとではなくなっているので。
まあとにかく、思いついたら打席に立ってフルスイングが編集方針ですから!
カンどころその1 にゃんこ大戦争
5年前からリリースされていて、息の長い人気作となっているアプリゲームが、実は最近小学生男子に刺さり始めている。
昨年末、ほぼ同時期に複数の人からそんなハナシを聞きました。
「なぜ今になってガキどもが騒ぎ始めてる?」
「どこが受けているのかサッパリわからん」
教えてくれた人も首をかしげて不思議に思うばかり。
「むむ、これは何かあるのでは!」
相当アンテナが立ってるつもりの編集部でも、掴めていなかったこの手のハナシは、過去何度となくブームをもたらします。
自分の知っている限りでは「ムシキング」「マインクラフト」がまさにそう。
いずれも、すでに作品が世に出ていて、口コミで伝わり始めた頃にうまく情報をキャッチして誌面展開を開始し、作品にも誌面にも利益をもたらしました。
「にゃんこ大戦争」はどうでしょうか?
ブームの予感はあるでしょうか?
アリだと思います!
なぜなら出会いにも縁があったのです。
編集部がこれアリなんじゃない?と思っていた矢先、制作元のポノスさんから「最近小学生がすごい数でプレイし始めているので、コロコロで何かやりたい」とアプローチがありました。
ラブストーリーは突然に(古いですネ)!
まさに相思相愛の船出です。
春から誌面展開がスタート。
サービス満点のイラストを描き下ろしてもらった付録企画で早くも人気を獲得、次号8月号では漫画掲載と、電光石火の勢いで誌面を突っ走り始めています。
カンどころその2 共闘ことばRPG コトダマン
「コトダマンって知ってますか?」
ゴールデンウィーク前に、ある編集部員から言われた一言。
即座に、
「知らない。何それ、面白いの?」と返すと、
「けっこう面白いです。リリースされたばかりでほぼノンプロモーションなのに、もう100万ダウンロードいってます。今度プロデューサーの人に会いに行ってくるんですけど、良さそうだったら、記事やります」
「いいよ、わかった。」
カンが働いたら、スピード感をもって決断・進行することが、誌面づくりには何より大事です。
というわけで、今月7月号より、始まったこれもまたアプリゲームです。
ことばが歯抜けになっているお題に対して、自分のキャラクターが持っている固有の50音の一語を当てはめてことばを作り、敵を倒す。
ありそうでなかったゲームシステムは、大人も子どもも楽しめる物だと思います。
これもリリース前まで完全ノーマーク。
小学生男児一人勝ちなんて言われて、チヤホヤされてる場合じゃありません。
子どもたちに対してどんな企画で攻めていけばブームを創れるか、そこが勝負です!
やりますよ!
カンどころその3 ZOIDS WILD
ここまでの2つと違い、“狙ってホームランを打とう”という、大本命企画です。
お読みいただいているみなさんの中にもゾイドと聞くと、「懐かしい」と思われる方もいるかと思います。
動物や恐竜とメカを組み合わせた組み立て玩具キット「ZOIDS―ゾイドー」は、過去2度小学生男児の間でブームとなりました。
3度目の今回の企画をタカラトミーさんと考え始めたのは、5年以上前でしょうか。
時間はかかっちゃいましたが、とにかくいいモノが出来たと思います。
後は、実物を見てもらいたい、手にとってもらいたい。
そこまでいけば、この企画は勝ちです。
何故なら手に取った瞬間、夢中になる要素がそこにはあるから。
いかにそこまで持って行かせるかが、「コロコロ」の腕の見せ所です。
なので、もしブームにならなかったら、それはほとんど「コロコロ」の責任だと言えるでしょう。
それくらいの決意で臨みます。
ベイブレードバースト以降、小学生男児の間で、なかなかおもちゃのブームが生まれません。
コロコロが最も得意とする、ミニ四駆に端を発する、手を動かして作る楽しさを体感する立体ホビーの灯を絶やしてはならない、何故ならこのジャンルはコロコロにしか出来ないジャンルだからです。
「ゲーム画面の中の世界に没頭しすぎて、今本当に目の前で繰り広げることが可能な楽しみを見過ごしちゃいませんか?」
読者には、そうメッセージを送りたいです。
物事には、反動があります。特に子どもは振れ幅大きく、突如正反対の物を嗜好したがる存在ではないでしょうか。
なので、特に今ゲームに夢中になっているガキどもにこそ、このホビーを好きになってもらえる資質があるのではないかと思います。
それが、編集部のカンどころです!
とここまで書いてきて、最後にとても気になるコトが起こりました。
つい先日の土曜日に、長男が
「スイッチでダウンロードしてもらいたいゲームがあるんだけど」
と言ってきました。
「そういえばスプラトゥーン2のオクトって、ダウンロードまだしてなかったっけ?」
「いや、ちがう。してほしいのは○○○○○○○。」
えっ!
○○、○○○○○○○!
伏せ字をお許しください。
ついに来たか。
同じ小学校に通うスマホを持ってる感度の高い同級生が、同じ類のゲームを盛んにやっていて、それを長男がちょっとうらやましそうに話していたのが、心の片隅で引っかかってました。
なので、このゲームのスイッチでのリリースには、注目してました。
でも、まさかこんなに早く気付くとは。
小学生恐るべし!
小学生のカンどころ恐るべし!
週末はさっそく夢中でプレイする長男の横で、必死にゲーム画面を見て、質問攻めをしてウザがられました。
トホホ・・・。
最後に今月の暗号です。
「神バディファイト52枚コロコロ限定ガルガデッキセット」と叫んでみてください。
「カードデッキだけじゃなくてプレイマットやダメージカウンターもついてるから、超お得だよ」と微笑みかけてくれる少年がいるかもしれません。
雨上がりの公園で、足元のはねた泥も気にせずにゲラゲラ笑いながらコロコロを読んでる子をみかけたら、どうか暖かい目で見守ってください。
それではまた来月、うんこちんちん!
『コロコロコミック』最新号発売中!
和田誠(わだまこと)編集長
1971年生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業後の1994年に株式会社小学館入社。『幼稚園』『おひさま』『めばえ』『小学一年生』編集部を経て、2005年より『コロコロコミック』編集部所属。2015年より同誌編集長。イベントなどでは、編集長キャラクター「まこ殿様」として登場。
▶『コロコロコミック』公式サイトはこちら
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