東京近郊で一番ディープな中華街、西川口！『散歩の達人』編集長コラム〈Vol.10〉

公開日：2018/7/21

散歩の達人 2018年 08 月号 [雑誌]

　こんにちは。月刊『散歩の達人』編集長の土屋です。今月号の大特集は「蒲田・大森」。数多くの温泉銭湯、どこまでも連なる商店街・飲み屋街が健在の蒲田。かつて海苔づくりが盛んで、海辺の保養地として人気を集めた大森。点在する渋い商店や古い家並み。しかしよく見たら、その一角には様々な新スポットが紛れ込んでいる!?　そんなノスタルジックで新鮮な〝新旧の昭和〞を、本誌では〝ネオ昭和〞と呼び、そんなスポットの数々を特集しています。

　今月号は、大特集以外にも読みどころ満載！　特別企画として、600日を超えるロングラン上映中のアニメ映画『この世界の片隅に』の片渕須直監督とのんさん（主人公・すずを演じています）のインタビューを掲載。『この世界の片隅に』は、この夏から実写版のテレビドラマも始まって話題ですよね。

　そして、第2特集では、東京近郊で一番ディープなチャイナタウンと言われるようになった「西川口」を紹介。“町中華”を発信してきた散歩の達人が、今回は東京近郊一ディープな“ガチ中華”の今をご案内しています。現地さながらの料理の数々を誌面でご覧ください！

　今回のコラムでは、そんなガチ中華タウン、西川口をちょっとだけご紹介。この街、普通に駅を下りて、表通りを歩いているだけでは、中国料理店が多いなー、と思うくらいで、第一印象としては“中華街感”はないかもしれません。ただ、駅ビル内のお菓子屋や総菜屋が並ぶきれいなスペースに、普通に油条（揚げパン）が売っていたり、ザ・プライスという駅近くのスーパーの飲食店に、中国ではスナックとして親しまれているという「鴨舌」が売っていたり、普通じゃありません。そして西口に出れば、中国や台湾で人気のミルクティー専門店があり、さらに一見普通の中華店と見えつつもそれぞれの店の外に掲げてあるメニューを見れば、漢字であること以外何が書いてあるかわからない現地語表記……。と、歩けば歩くほどディープさが感じられる街なのです。

6フロアが中国系のビルを横から撮影。中国語だらけでここはどこなのかと感じてしまう。

ザ・プライス内の『吉時餃子』では、餃子や肉まんにまぎれてスナック風に鴨肉を販売。

人気はタピオカ入りというミルクティー専門店の『街角小桟』。写真はミントミルクティー。

　そんな街で人気の蘭州料理店に行ってみたのですが、この店の名物・蘭州牛肉麺も麺が9種類から選べ、麺によって味わいが違うとか。私は2番目の太さの麺を選びましたが、この麺自体も味わい深く、細麺ならよりスープと合ってラーメン全体として違う味わいになるそうです。そしてこのスープが抜群においしい。あっさりしているのに、旨味が後からどんどん感じられ、途中から自家製ラー油や黒酢を入れれば、味変も楽しめます（この自家製ラー油も辛すぎず旨味あり）。スープはお代わりＯＫなので、ついつい飲み過ぎてしまいました。セットなら味付け肉＆味付け玉子も付くので、そちらもお試しあれ。

　そしてこの街、本場中国さながらの料理店・食材店だけでなく、ネットカフェや理髪店など、まったく日本語が通じない、在日中国人のための店がどんどん増えています。じつは理髪店で、元編集部員のＫが散髪を体験。中国で流行のヘアスタイルにしてもらいました。そのルポも掲載していますので、ビフォーアフターをぜひご覧ください。

　さて誌面では、西川口のディープチャイナタウンの情報のほか、大特集の蒲田・大森エリアの情報もたっぷり。このエリアならではの酒場や喫茶店、グルメ情報のほかに、「ムーンライダーズ・鈴木慶一インタビュー」「蒲田の食堂で“カツ”を食べる理由」「京急空港線で御利益さんぽ」「じつは、大森はそばの街なのだ」「東京温泉観光の旅＜蒲田温泉＞」などなど、企画ページも盛りだくさんです。

　じつは、西川口も蒲田・大森も京浜東北線1本で行ける好アクセスの地。ぜひどちらにも出かけて、両エリアの魅力を楽しんでほしいです。そして、そんな情報が満載の本誌を、どうぞ一度、手に取ってみてください。