『ゲゲゲの鬼太郎』に会える街。調布・府中・深大寺大特集! 「つげマンガで調布さんぽ」『散歩の達人』編集長コラム〈Vol.7〉

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公開日:2018/4/21

『散歩の達人』5月号(交通新聞社)

 こんにちは。月刊『散歩の達人』編集長の土屋です。今月号の大特集は「調布・府中・深大寺」。水木マンガのキャラクターに出合えるだけでなく、調布・府中は不思議な街です。調布には角川大映、日活という映画の撮影所が2つもあり、サッカーJリーグ・FC東京のホームスタジアムがあります。府中にはラグビーのトップリーグのチームが2つもあり、東京競馬場を含めた公営競技場も独特な魅力を放っています。そして極めつきは深大寺。都内で浅草寺に次ぐ古刹周辺は、名物のそば屋が点在するエリア随一の観光地です。住宅地のすぐそばに非日常空間が点在する、面白くて不思議な街が調布・府中なのです。

 今、このエリアを特集する理由は、今年4月から放映50周年を迎える『ゲゲゲの鬼太郎』アニメの新シリーズが久しぶりに始まった上、東京競馬場では4月21日から春競馬が開催、さらにGWにはエリア随一のイベント「くらやみ祭り」も行われ、エリア全体が熱気に包まれる時季だから。今こそ調布・府中・深大寺なのです。

 さて、特集内で今回紹介したいのが、「つげ義春マンガさんぽ」。つげさんのマンガはいつもしみじみ読んでしまい、調布のことは多摩川くらいしか描いていないのでは、と思っていたのですが、編集部とスタッフで歩き回って調べてみたところ、このコマはここでは? という場所が意外にもいろいろと発見できました。詳しくは誌面を読んでいただきたいのですが、ここではその中からいくつかをご紹介しましょう。

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 まずは京王多摩川駅を下りて、多摩川へ。5分ほどで河川敷に着きますが、京王線の鉄橋の下あたりが、つげさんのマンガ「石を売る」に出てきた菅の渡し跡。昭和48年まで実際に渡しがあった場所です。コマと見比べるとなんとも感慨深い。

京王相模原線鉄道橋の下あたりが菅の渡し跡。手前の河川敷はサッカーグラウンドになっていた。

多摩川橋梁から少し上流に行くと、石がごろごろしている河原に下りられる。「石を売る」のコマのように撮影してみた。

 川の向こう岸には、このコラムでも紹介した酒場『たぬきや』が見え、そちらにも行きたくなってしまいますが、ここから多摩川を眺めながら、多摩川住宅を目指して川沿いを下って行くことにしました。堤防を歩いて行くのですが、この季節は寒くもなく暑くもないいい季節なので、気持ちよく歩けます。

 途中にはテニスコートや市民プール(「散歩の日々」で泳ぎに行っていた市民プールか)などがありましたが、かつてはこのあたり一帯がレジャーランド(京王遊園)だった名残にも感じました。

 30分ほど歩くと、「鳥師」に出てきた(と思われる)水門が見えます。今は上に上がれなくなっていますが、ここから鳥師が飛び立ったのだと考えると、単なる人工物がそれまでと違って見えるから不思議です。

 そして今回の目的地、多摩川住宅へ。ここには有名な給水塔があるのです(今月号の誌面でも「見上げてみれば、給水塔」で紹介)。一度は見てみたいと思っていましたが、コンクリートの質感、40メートルもの高さ、鼓状の独特のフォルム。その存在感はかなりのものでした。たまたま管理に来ていた方に話を聞いてみたところ、「団地の建て替えが始まっていますが、この給水塔もどうなるか……。でも、東日本大震災でもびくともしなかったそうですよ」とのこと。こんな巨大な塔が団地内に5基もあるのです。じつはこの給水塔もつげさんのマンガに出てきます。ぜひマンガでも探してみてください。

多摩川住宅の給水塔。漫画のコマのように団地と一緒に撮影してみたが、実際に近くまで行ける塔もあるので、ぜひ近くで見てほしい。

 ここまで来れば、ちょっと野川沿いまで足を延ばしても国領駅や柴崎駅まで歩いて30分ほど。京王多摩川駅から2~3時間の散歩コースなので、ぜひ散歩の達人5月号とつげさんのマンガを手に歩いてほしいです。

 ほかにも誌面では、調布・府中・深大寺エリアの情報がたっぷり。喫茶店やグルメ情報のほかに、「怪獣映画、調布襲来!」「FC東京を応援する楽しさ」「いま、行くべき深大寺そば」「リアル『ちはやふる』がここに!」「府中は日本一のラグビータウン!」「この街で飲むなら三冷ホッピー」「公営競技あるところ、いい酒場あり」などなど、企画ページも盛りだくさん。

せっかくなので、最後は野川沿いを歩いてみたい。「散歩の日々」では野川沿いを歩いてG寺(祇園寺か?)に向かった。
多摩川団地からは少し距離があるが、神代団地にある『手紙舎』に寄って帰るのもいい。『手紙舎』も誌面で紹介しています。

 調布・府中・深大寺にゆかりのある人も、新たに興味を持った人も、どうぞ一度、本誌を手に取ってみてください。

土屋広道(つちやひろみち)
1972年生まれ。関西学院大学社会学部卒業後の1996年に株式会社弘済出版社に入社(合併を経て2001年に株式会社交通新聞社)。『鉄道ダイヤ情報』『旅の手帖』編集部を経て、2008年より『散歩の達人』編集部所属。2017年11月号より同誌編集長。

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