読書は人生のグーグルマップ! フワちゃんの意外な読書遍歴とは

エンタメ

2020/2/1

 常にハイテンションで、大御所タレントを前にしても物怖じしない言動を繰り出す女性芸人・フワちゃん。カラフルな衣装を身にまとい、自由奔放に暴れまわる彼女を見て、「この芸人、すごい……!」と衝撃を覚えた人も少なくはないだろう。

 そんな新時代の芸人であるフワちゃんには、「人気YouTuber」という顔もある。「フワちゃんTV」と名付けられたチャンネルの登録者数は50万人を突破。再生回数が100万回を超える投稿もあり、その人気ぶりがうかがえる。

 そんなフワちゃん、実は大の読書家なんだとか。一体どんな本を読んできたのか、読書の醍醐味はどこにあるのか、オススメの作品はなんなのか。いま最も注目される新人類フワちゃんに、特別インタビューを敢行した!

伊坂幸太郎さん、湊かなえさんが大好き!

――本日は、フワちゃんのこれまでの読書経験について教えていただきたいんですけど、そもそも本は結構読むタイプですか?

フワちゃん:みんなが想像してるよりは読んでるかも! 実は小学生の頃から本は大好きで、『ことわざ辞典』とか超読んでましたよ。まじ人は見かけによらぬもの~。他に娯楽がないから仕方なくとか、親に言われたからなんとなく、って理由じゃなくて、読書が一番楽しかったんだよね!!

――読書を楽しいものだと捉えるきっかけになった本って覚えてますか?

フワちゃん:『王さまレストラン』っていう絵本! もうね、サイコーに面白かったよ! 急に犬がやって来て、チーズトーストを咥えて外に飛んでいっちゃうんだけど、チーズが延々と伸び続けて、お腹のなかでも伸び続ける、みたいな。「なにこれ!?」って感じなんだけど、とにかく面白かった。ちょっぴり不思議で奇妙でかわいくて愛おしくてって、いろんな要素が詰まってて、小学生の脳みそをぐわんぐわん揺らす魅力的な一冊でした。

――子どもの頃に読んだ本で、他に印象的なものはありますか?

フワちゃん:あとは、『かいけつゾロリ』も好きでした。作中に「ハナクソ」とか「ウンチ」とかも出てくるから読んじゃダメ!っていう学校も多かったと思うけど、そこだけ許してくれたらとっても最高の本だよ! ゾロリの本って、普通のストーリーの他に地図だけのページがあったり作戦だけのページがあったりするの! そこの解説もいちいち細かいとこまで面白くて、秘密の攻略本って感じで大好きだった! 小説でも絵本でも漫画でもない、ゾロリにしか出来ない本のスタイルには、大人になった今でも憧れてます!

――それだけ夢中になって読んでいたのなら、読書感想文も得意でしたか?

フワちゃん:得意でしたよ。学校内で優秀賞みたいなやつにも選ばれたし! でも、どういうことを書いたのか、思い出せないや。ごめんね。

――いえいえ(笑)。では、大人になったいま、どんな本を読んでいるか教えてください。

フワちゃん:大人になってからハマってるのはね、伊坂幸太郎さんと湊かなえさんの作品なんです。

――ミステリージャンルの人気作家さんたちですね!

フワちゃん:そうそう。あたし単純で最高なことに気づいたんだけど、「売れてる本」って超面白いよね。伊坂さんは、大学1年生の頃に『アヒルと鴨のコインロッカー』でハマった! 巷でよく聞く名前だったけどなんだかタイトルも変な感じだし、最初はそこまでハマると思ってなかったんだけど、読んでみたらあっという間にハマっちゃった!

 キャラクター同士の会話もなんだか魅力的だし、穏やかなのに穏やかじゃないストーリーだし、あたしの大好きなどんでん返しがあって、もう本にめり込む勢いで「うっそ、サイコーじゃん!」って言った!!(笑)しかも、「だから、このタイトルなのか!!」ってなるあの気持ちいいやつも体感できてもう完全に伊坂ハイだよね。それで伊坂さんのことを調べてみたら、他にも作品がたくさんあったから、「この面白さをまだまだ体験できるんだ!」ってなって超嬉しかった。

――湊かなえさんの作品との出合いは?

フワちゃん:湊かなえさんは『告白』が話題になってたから、ベタにそこから入ったんだけど、やっぱりサイコーだったよ! 読後感が悪いとか、イヤミスとか言われてるけど、私は「これはフィクションフィクションフィクション」って唱えるから割り切れちゃう(笑)。むしろ、湊さんの作品には良い意味での担保があると思うの。あたし、オチをこっちに委ねてくる作品がちょっぴりやなのね、「え待って! あんたが考えた本なんだからあんたが終わらせてよ!」って思っちゃうの、まじ忠誠ないよねあたし!!(笑)

 でも湊さんの本ってスッキリハッキリしてていっつも「ブラボー!」って終わり方するから大好き。こっちに託さず自分で終わらせてくれてありがとね。

 あと湊さんは作風があっちこっちにいかないところがすごく好き。ずっとちゃんと湊かなえ!すごく芯がしっかりしてる方なのかな! あたしあっちこっちフラフラしてるからもしかしたら怒られちゃうかも!

■大好きな読書が、YouTuberとしての活動にも影響している

――伊坂さんと湊さんの作品で、最も印象に残っているものを教えてください。

フワちゃん:伊坂さんは『グラスホッパー』シリーズかな! 特にその続編の『マリアビートル』が好き!もうねーとにかくテンポが最強!本なのにページをめくるときに「ビューン!!!!」って音がするくらい展開が早くて面白くてサイコー!! 文字でこんなに疾走感が出せるんだってびっくりしました。あたし息切れしちゃったんだから!!

 湊さんは、『告白』から入って『少女』も読んで……、あ、『リバース』も良かった! 待って! 有名なやつ言いすぎた!! こういうときって映像化されてないタイトル言った方がカッコいいのにぃ。

 やっぱ変えて『豆の上で眠る』にしよかな。なんか読書家っぽくてカッコよくない??

 ……う~ん、でもやっぱり、ここは『リバース』かな。「こいつが犯人でした!」っていうオチのパターンって正直やりつくされてて、どのオチになってもちょっとズルさが残ったりすることが多いけど、リバースのオチは「ウッワァ~~~」って言っちゃった(笑)こんだけ伏線の張り方も丁寧でストーリーが面白いなんてもうさすがだよね。この話も受け取り方によってはイヤミスになるんだろうけどさ、でも私は必殺「これはフィクションフィクションフィクション」があるから大丈夫。な~んにも問題なし!

――伊坂さんと湊さんに共通するものって、なにかあるんですか?

フワちゃん:ふたりとも、私が読書に求める5つの条件をきっちり満たしてくれるんです。1.面白い 2.テンポがいい 3.わかりやすい 4.でも、考察する余地もある 5.登場人物が魅力的。これを五角形のグラフにしたとき、伊坂さんも湊さんも完璧に満たしてビョーンって飛び抜けるから、超やめられないんだよね。

――ページを開いたら、最後まで止まらない?

フワちゃん:もうダメ。ちょっとだけ読もうと思って開くんだけど、気づいたら朝の5時とか。「やべ、仕事8時からじゃん! 終わった!」ってよくなってるよ(笑)。だからさ、「忙しい人向けの湊かなえシリーズ」みたいなのも出してくれないかな~。区切りのいいところで、湊さんからの「はい、今日はここまで。続きはまた明日。みんな仕事がんばってね」みたいなメッセージが入ってるやつ。そしたら夜通し読まなくて済むのに。

――(笑)。本当におふたりの作品が好きなんですね。

フワちゃん:うん、大好き! 伊坂さんも湊さんも、読者のことをきちんと考えて書いてくれてる気がする。全然自分よがりじゃない。ちゃんと読者を「楽しませよう」っていう姿勢が伝わってくるっていうか。作家は自分よがりしてナンボなのに! 超偉くない? 大好き! だから私も、YouTubeの動画では、「観る人のことを楽しませる」っていうのを第一優先にしてるの。このスタンスは、伊坂さんと湊さんから教わったことなんです。

――読書体験がまさかYouTuberとしての活動にもつながっているとは……!

フワちゃん:完全に影響を受けてると思います。YouTubeの動画にもいろんなジャンルがあって、YouTuberによって目的も違うと思うけど、私は完全に「あ~、楽しかった!」って気持ちを大切にしたい。だから編集してても、思いついたことはどんどん取り入れていくし、観てくれる人のことを想像して投稿してるんです。こういう考え方ができるようになったのは、本当に伊坂さん、湊さんのおかげ。

伊坂幸太郎湊かなえ、ありがとね~!」って感じ。あ、このメッセージちゃんと記事に入れといてね!

■読書体験は、「人生のグーグルマップ」

――(笑)。フワちゃん自身も、いつかは本を書いてみたいって思いますか?

フワちゃん:そうなんだよね~。やっぱりカロリーが高いから避けてた部分はあって。でも、友人の青山テルマが『人生ブルドーザー』っていうエッセイを出してて、めちゃくちゃ面白かったの。アーティストならではのリズムもあったし、言葉選びもサイコーだった。あと、kemioも『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』って本出したでしょ? 作中のパンチワードで「嫌なこと全部スワイプして消すよ」って書いてて、その言葉選びスゲー!って思った。スワイプしてkeepに保存しちゃお!

 作家ではないカテゴリーで活動してる人たちが、そういう面白い本を書いてると、やっぱり影響受けますよね。文章を書くこと自体は嫌いじゃないし、向いてないってことはないと思うんだよね。

――おお! じゃあ、近い将来には……?

フワちゃん:でもさ、私って完璧主義なところがあるから、めちゃくちゃ時間かかりそう。みんな一緒だと思うけど、出すからには読んでくれる人を100%楽しませたいじゃない?

 そう考えると、ハイペースで出してる作家さんって、まじリスペクト! だから、無闇矢鱈に「次回作も楽しみにしてます」なんて言えないですよね。みんな魂を削って書いてるんだから、「手元にある本だけで幸せですので、どうかご無理せずにゆっくり書いてくださいね」って気持ちになっちゃう(笑)。「ご無理せず」って言い方、はじめて使ったけど!

 それだけじゃ足りないから、伊坂さんも湊さんもハグしてあげたいくらい。しかも、出してる作品数分、ハグしてあげる。それでも不満だったら、キスも付けちゃうよ!

――おふたりとも喜んでくれるといいですね(笑)。では、最後に、フワちゃんにとっての「読書とはなにか」を教えてください。

フワちゃん:読書って、人生に大きな影響を与えてくれる存在だと思うんです。先生とか恩師みたいな……。でも、それをもっとうまい言葉で言いたいんだけど。なんだろう……、“バイト先の店長”は違う?

――バイト先の店長から影響も受けることもあるとは思いますよ。

フワちゃん:いや、もっとカッコよく言いたい。ちょっと待って、言葉の方向性変えるわ……。(しばらくスマホで類語辞典を眺めて)わかった、グーグルマップ! 読書は人生のグーグルマップだよ!

 本を読むことでいろんな影響を受けるし、生き方の路線や価値観、考え方も変わるでしょ? ひとつのエンタメコンテンツとして楽しんでた何気ないことが、実は人生に大きな影響を与える。本にはそういう力があるから、みんな、大切に読んでほしいなって思います。

 そして私も、YouTubeに投稿している動画で、誰かに影響を与えられる人になりたい! いつか「フワちゃんの動画で○○することを決めました~!」って人が現れてくれたらサイコーじゃん。だから、これからもエンタメの力を信じて、いまの活動を頑張っていきます!

取材・文=五十嵐 大 写真=花村謙太朗