故・吉野朔実の傑作映画ガイドが復刊! 繊細なイラストと共に送る、鋭い映画評にゾクゾ ク
『新装復刊 吉野朔実のシネマガイド シネコン111』(エクスナレッジ)
昨年、病気のため逝去した漫画家の吉野朔実さん。その繊細な絵柄と、人間の心の奥底をえぐるストーリーは多くのファンから愛されていた。少女漫画誌でデビューも、後期は青年誌での活躍も目立っており、彼女のあまりにも早い死は漫画界全体の損失だった。
そんな吉野さんの名著が復刊された。2008年に出版された『シネコン111 吉野朔実のシネマガイド』が『新装復刊 吉野朔実のシネマガイド シネコン111』(エクスナレッジ)として蘇り、再び書店に並んでいる。近年の吉野作品ファンには手に入りにくくなっていた一冊だけに、この復刊は貴重である。
本書は2001年刊行の『こんな映画が、吉野朔実のシネマガイド』の続編的な内容で、吉野さんが鑑賞した新作映画の感想がイラストつきで綴られていく。とにかく、ファンなら目が行くのは鮮やかで美しいイラストの数々。ラフなようで柔らかい吉野タッチは健在で、映画のワンシーンが吉野作品の一部へと変えられていくのは至福の時間だ。少女漫画家らしくイケメン好きかと思いきや、意外に…