古沢良太さんが選んだ1冊は?「常識やモラルで覆ったものを剥がし“本質を見る”考え方を教わった一作」
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年4月号からの転載になります。
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、古沢良太さん。 (取材・文=河村道子)
「僕は1970年代生まれ、団塊ジュニア世代なんです。周りには年の近い子がいっぱいいて毎日、遊んでばかりいました。勉強なんて一切しなかった(笑)」 そんな古沢少年の心を躍らせたのは、書き下ろし脚本で初参加した、『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』へ連なってきた、のび太たちの大冒険。「藤子・F・不二雄先生は間違いなく、僕に創作者のあこがれを最初に抱かせてくれた方」という言葉に、選んだ一冊が重なる。 「F先生は大人向けのSF短編の傑作を数多描いていらして。なかでも食欲と性欲の価値観が逆転した世界に会社員が迷い込む表題作は、初めて読んだ中学生のときに衝撃を受けて以来、幾度も読み返してきました」 “はやくメシにしろ!”と言うと顔を赤らめる妻、なのに幼い娘の絵本には堂々と性描写が……。これはお…