10代の少年少女たちが本気サバイバル! 先読みできない展開に心つかまれっぱなし
上橋菜穂子さん、小野不由美さん、荻原規子さんを“ファンタジー三羽烏”と総称したのは金原瑞人さんですが、忘れちゃいけないのがこの方、向山貴彦さん。1999年に発売された『童話物語』はファンタジーファンの心を大きく揺さぶり、以来、待ちに待ちに待ちに待…………っっった新作が『ほたるの群れ』なのであります。
『童話物語』は、クローシャと呼ばれる世界で懸命に生きる、ちょっと性格のねじまがった少女・ペチカと彼女のもとに舞い降りた妖精を通じて“世界の終り”を描く物語でしたが、本作は一転、ごくごく普通の中学校が舞台となっています。 が。
お話じたいは全然、普通じゃありません。なにせ冒頭からかなりエグい……。十代の子供たちを暗殺者として育てあげる組織「会」、その「駒」である阿坂らが敵対組織の「成駒」を無残にも殺害していくところから始まります。そしてその姿を見たかもしれない少女・喜多見を追って、そして潜入しているらしい成駒ともども排除すべく、阿坂は五倉山中学へ潜入。その喜多見に片想いしているのが主人公・永児なのです。家庭に大きな問題、というよりも悲劇を抱える彼もまた、…