齋藤飛鳥さんが選んだ1冊は?「ああ、自分の感情ってこう言葉にすればいいんだなと思いました」
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年11月号からの転載になります。
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、齋藤飛鳥さん。 (取材・文=松井美緒 写真=booro)
読書好きで知られる齋藤飛鳥さん。この短編と出会ったのは、ちょうど書かれている女の子と同じ年頃、高校生のときだった。 「ああ、自分の感情ってこう言葉にすればいいんだと思いました。繰り返しの毎日に嫌気がさしたり、お母さんの言動にイライラしつつも、その優しさを理解していたり。思春期のぐちゃぐちゃした感情がそのまま描かれていて、すごく共感しました」 『人間失格』『斜陽』など他の太宰作品と比べても、この短編が好きだという。昨年も読み返し、ブログやInstagramの文章の参考にもしている。 「文体がすごく好きで。句読点の使い方が特徴的ですよね。『女生徒』には、独特の空気感があります。すべてが曖昧ですっきりしない。先ほど共感と言いましたが、最後まで読んでもその気持ちが救われるわけではない。…