2007年11月号 『治療島』 セバスチャン・フィツェック
2007年10月6日
『治療島』
セバスチャン・フィツェック/著 赤根洋子/訳 柏書房 1575円
著名な精神科医・ヴィクトルの一人娘・ヨゼフィーネが消えた。死に物狂いで捜索するが行方は知れない。そして数年後の現在、ヴィクトルは病院のベッドにいた。妻すら面会に来ない日々。しかし、「あんなことがあったからには、それも仕方がない」。ヴィクトルはロート博士の求めに応じ、全てを語るため、“島”の話を始める。 悲劇から4年後、“島”にいた彼を、謎の女性・アンナが訪ねてくる。自らを統合失調症と言い、治療を求めて妄想を語り始める彼女。それは、娘によく似た少女が親の前から姿を隠す物語だった。話を聞くうちに、ヴィクトルは精神的に追い詰められ、そしていよいよ真実を知る……。
スピード感あふれる、ネオ・サイコスリラー。 撮影/冨永智子
セバスチャン・フィツェック(Sebastian Fitzek)●1971年、ベルリン生まれ。放送作 家として活躍する。本書が単行本小説デビュー作で、ドイツにての映画化も決定して…