「残念ながら関わり合っちゃったね」一方的な日曜日の約束/冬野夜空『一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。』③
クラスの人気者・香織に突如専属カメラマンに任命された輝彦。性格がまるで違うふたりは時間をともにするうち距離を縮めるが、やがて輝彦は香織が重い病と闘っていることを知って…。高校生の純愛と濃密過ぎる2カ月間を描き、刊行から僅か半年で7万2000部を超えるヒットとなった『一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。』(スターツ出版)。全3回で本作の序盤をお届けします。
『一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。』(冬野夜空/スターツ出版)
「そう、なんだ」
「あ、今、モデルなんて似合わないとか思ったでしょ!」
「うん」
僕は思わず頷いていた。
たしかに彼女は華がある。アーモンドのような瞳はくっきりと大きく、鼻筋も通っている。笑うと愛嬌もあって、クラスでも人気者だというのが僕の印象だ。 だけど、モデルというような華やかな仕事には興味がないと思っていたから、意外だった。まあ、彼女とはこれまでまったく関わりがなかったから、僕の客観的な意見に過ぎないんだけど。
「失礼なやつー!」
「嘘を言っても仕方がないだろう」
「まあいいや、自分でも似合わないと思ってるし。それで、交渉は成立?…