『週刊ツリメ』「クレイジージャーニーの打ち切りについて」

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公開日:2019/10/25

 埼玉の実家から東京の大学に通っていた時期があった。車に乗って最寄りの駅まで20分、そこから電車で1時間40分、合計2時間掛けて向かうのだ。往復4時間をほぼ毎日してたのを今考えると時間の無駄遣いだったなと思う。大学の近場に住んでいたらもっと寝れたなぁと駄目ツリ男は電車に揺られながらボソボソと心で呟いていた。

 帰宅するのはいつも12時頃だった。家の電気は一つも付いてなく、家族全員就寝している。ふと間違えて廃墟に入ったのかと錯覚するくらいのどす暗さだ。内心怖がりなんで靴を放り投げるかの様に脱いで電気をとっさに付ける。帰宅途中に寄ったコンビニで弁当を買って1人しんみりと遅めの夕食を食べるのだ。その時に観る深夜番組が物凄く大好きなんだ。勿論、ゴールデン帯も好んで観る。でも深夜にやってるテレビって少しマニアックというかあまり一般受けしにくい番組が多い。けれどもハマったらやみつきになってしまうのだ。たとえるならカレーの上に納豆を掛けて食べる幸せに近い。ツリメは毎日出前で頼むほど好きなのだが周りは興味を持ってくれないんだよね。

 そんなツリメは水曜の24時頃から放送開始する「クレイジージャーニー」が一番のお気に入りだった。ダウンタウンの松本人志さん、バナナマンの設楽統さんと小池栄子さんが出演するバラエティ番組だ。一つの事を追求している様々な日本人に注目して僕達視聴者に知らない世界を教えてくれる番組だった。

 毎回変わった人が登場するのだが、ここでツリメのオススメクレイジー人間を紹介したい。それが丸山ゴンザレスさんだ。彼は世界中の危ない場所に行くジャーナリストなのだ。日本じゃ絶対にお目にかからないスラム街や麻薬地帯に突撃する姿を見たツリメ少年の目はキラキラ輝いた訳だ。こんな危なっかしい番組が地上波でやっている事は22時に寝ている子供は知らない。全国の学生に水曜だけは夜更かししろと自分の拡散力を利用して訴えるべきだった。放送規制が厳しくなっている環境下でこんなに攻めたコンテンツがあるのにも驚きだ。最近だと日本のHIPHOPをピックアップしていて、「地上波でここを突いてくるのか」と面白い回だった。

 しかし先日番組内でのヤラセが発覚してしまいクレイジージャーニーは放送打ち切りとなってしまった。事前に用意していた生物をあたかも偶然捕獲出来たっ!と撮影をしていたのだ。一言で今の気持ちを表すと残念。ヤラセが表沙汰になってしまったら視聴者の信頼を損なうのは確かだ。ファンとしてはもう一度復活を願いたい。

 今回の事例で気になったのは「ヤラセ」についてだ。クレイジージャーニー以外にもヤラセが発覚して炎上した番組がいくつもある。現在も継続している番組もあれば打ち切りなったものもある。その差は何処から来るのか自分なりに考えた。

 今回のクレイジージャーニー の件はヤラセが発覚した以上、過去の回にもあったのでは?と疑問の目が向いてしまう。今後の放送にもそういった考えを視聴者が持ってしまう時点でアウトになったのかと思う。リアリティを追求している番組故に今回の事は致命傷だったのかも知れない。

 それに対してヤラセが発覚してもフィクションの様なバラエティ番組は許されてしまう可能性もある筈だ。ヤラセと気付いていても面白かったらOKな場合は継続されるのだろう。ただ、この辺りは作り手と視聴者の見方にズレはあるのかなぁと思ったりもしている。視聴者がヤラセと思っている事を、作り手は演出と認識して制作している事もある気がする。

 ここまでヤラセについて話していると読者から「最初に書いてあった通学時間の往復4時間も怪しくね?」って疑いを持たれるだろう。これは本当だから安心してくれ。

執筆者プロフィール
ツリメ(byアバンティーズ)
埼玉県出身、年齢は23歳。チャンネル登録者数160万人超の人気グループ「アバンティーズ」のメンバー。
絵心はないがイラストを描くのが趣味で、メンバーからは「画伯」と呼ばれている。
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