KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

私をくいとめて (朝日文庫)

私をくいとめて (朝日文庫)

私をくいとめて (朝日文庫)

作家
綿矢りさ
出版社
朝日新聞出版
発売日
2020-02-07
ISBN
9784022649492
amazonで購入する Kindle版を購入する

私をくいとめて (朝日文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

さてさて

『一人で生き続けてゆくことになんの抵抗もない』。『一人でいる時間』を大切なものと考え『おひとりさま』と呼ばれる時間を大切にしていた主人公のみつ子。この作品ではそんなみつ子が『頭の中の自分自身』と会話する中に人間が本当に必要とするものの存在に気づいていく物語が描かれていました。綿矢さんならではの比喩表現の魅力を堪能できるこの作品。リアルなイタリア旅情を楽しめもするこの作品。みつ子と『頭の中の自分自身』である『A』との会話のリアルさの中に、グイグイ読ませる綿矢さんの筆力を改めて感じさせる素晴らしい作品でした。

2024/01/21

みかん🍊

もうすぐ33歳独身で一人の生活に馴染んでいるみつ子は脳内にいるAとの会話でアドバイスを貰ったり励まされたりしている、会社では真っ当に働き、それなりにお一人様を満喫しているので、気になる人はいるが今更深く関わりたくなく友達関係でいたい、結婚してイタリアに住む親友の誘いで思い切っての一人海外旅行で行動を起こす事で自分の気持ちが分り、脳内のAを頼らなくても良くなって来たのかもしれない、こんな女性が今は多いのかも。30代のなのに飛行機の恐怖を大滝詠一を聴いて柔らげるのは笑った。

2021/05/14

黒瀬 木綿希(ゆうき)

1人で生き続けていくことに何の抵抗も無い黒田みつ子・もうすぐ33歳。悩みは頭の中の分身が解決してくれるちょっぴり寂しい人物。4人の主要人物に対してこんな人いる?と思ってしまうのも初めだけ。確かにいる。こんな人たち。ですから凄く親近感が沸きます。気になっている人はいるけど今の関係を崩したくなく、それぞれがそれぞれの満足感に浸っているけど周囲はもどかしく思ってしまうあの感じ。でもみつ子が送っている日常ってなんだか羨ましく思ってしまうんですよ。

2020/02/19

エドワード

33歳のOL・みつ子が合羽橋で食品サンプルを作る講座から始まる。独身生活を満喫しているみつ子。私も独り暮らしの頃「独り言が多いね」と言われたが、彼女の心にはAという分身?相談相手?がいる。男友達とつきあい出しても「いつもと違う行動をして何かが決定的に変わってしまうのが怖い」と感じてしまう。充実した毎日、イタリア旅行、ディズニーランド。だが、ふっと寂しくなる時がある。どのように生きてもいいよ、と社会に放り出された現代女性が生き方を探す物語だ。恋人が出来た時、Aは消えていく。Aは「アラジン」のジニーのようだ。

2020/03/22

kana

なにこれわたし?と思うことがありすぎてにやにやしちゃう。この現代的都会的な人物描写、大変好みです。30過ぎて仕事もそれなりに認められて、1人で過ごす毎日もそこそこ充実してきて、自分の中の別人格Aに小さな悩みを相談するみつ子。ほんのりいい感じの人はいてもこのままの関係でもほどほどに幸せだからいいかなーと思う。裏返せば劇的な変化に対応する自信がない。他者との深い関わりで傷つくのが怖い。この静かなピンチをみつ子はどう乗り切るのか。私をくいとめる何かは現れるのか。綿矢さん芥川賞作以来でしたがすごくよかったです。

2020/06/16

感想・レビューをもっと見る